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台湾、東電福島原発事故後の日本の関連5県からの食品を「核災食品」として輸入禁止している規制の解除の是非をめぐる住民投票、11月24日に実施へ。背景に政治的対立も(各紙)

2018-10-11 14:39:16

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 各紙の報道によると、台湾は、東京電力福島第一原発事故の影響を考慮して、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県産の食品輸入を禁止しているが、輸入を解禁するかどうかを問う住民投票が11月24日に開かれる統一地方選挙に合わせて行われることが決まった。野党国民党が住民の署名を集めて請求し、中央選挙委員会が9日、決定した。

 

 (写真は、日本の食品を「核災食品」として廃棄するパフォーマンスをする国民党系の活動家たち)

 

 日本では福島県を含めて、食品汚染問題はほとんど語られないようになっている。蔡英文・民進党政権も、事故から7年を経過したことや、食品摂取による被害等がないことから、輸入解禁を提案してきた。だが、国民党は「核災食品(原発事故にあった食品)」などと呼んで解禁を反対する運動を展開し、政治問題化している。

 

 今回の住民投票は、蔡政権が住民投票の請求案件を緩和したことを受けて、国民党が請求した。統一地方選で同時審査される住民投票7案件のうちの1件となる。国民党は日本からの食品輸入問題のほか、蔡政権が進める脱原発政策に反対して、代替の火力発電所建設計画に反対する住民投票も提起している。

 

 国民党は原発政策については推進派にもかかわらず、原発事故の影響については民進党政権よりも厳しい規制を続けることを求めるなど、政策の不一致がみられる。ともに、蔡政権への政治的な揺さぶりとみられる。

 

 原発事故に伴って各国が実施した日本食品の輸入規制は、香港が今年7月に、福島を除く4県分を解禁したほか、中国は10都県を対象にした規制を続けているが、現在、解禁に向けた協議を日本側と続けている。日中協議の動向も、台湾の国民党の姿勢に影響しそうだ。

 

 その他の住民投票案件には、2020年の東京オリンピックで使用する台湾の名称を、従来の「チャイニーズ・タイペイ」から「台湾」に変更することでの参加申請の賛否を問う案件や、同姓婚を法律にどう位置づけるかを問う案件も提案されている。

 

台湾の住民投票は、投票の結果で、賛成が反対を上回り、かつ有権者数の4分の1以上であれば、政権の判断を拘束することになる仕組みだ。