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福島原発事故後作業に従事の作業員 長時間労働で初の過労死認定。亡くなる前の4ヶ月間は月100時間超の時間外労働(各紙)

2018-11-05 13:10:01

KATAYAMA2キャプチャ

 

 各紙の報道によると、東京電力福島第一原発で事故後、自動車整備作業に従事していた福島県いわき市の猪狩忠昭さん=当時(57)=が昨年10月、敷地内で倒れて死亡したのは、長時間労働による過労が原因として、いわき労働基準監督署が10月16日に、労災認定したことがわかった。原発事故後、長時間労働による過労死認定は初とみられる。

 

 東京新聞が報道した。福島原発事故後の作業に従事していた作業員の労災による死亡事例は、今年9月4日、厚生労働省が、放射線量の測定作業などに従事し、肺がんで死亡した東電協力会社の50代男性を労災認定している。また2012年には、作業中に心筋梗塞で死亡した静岡県の男性が「過労が原因」として労災認定されている。ただ、長時間労働を原因とした労災認定は今回が初めて。

 

 今回の猪狩さんの事例は、過酷環境下で、早朝出勤などを含む長時間労働を強いられていた。亡くなる直前の6カ月の時間外労働が月80時間超、直前1カ月を含む4カ月が月130~112時間だったとして、遺族は今年3月に労災申請をした。
昨年10月に亡くなった猪狩忠昭さん。
昨年10月に亡くなった猪狩忠昭さん。
 労基署は猪狩さんの勤務状況は、直前1カ月に100時間、または2~6カ月で月当たり80時間超とする「過労死ライン」の基準を満たすと判断。さらに、会社と原発間の移動時間も労働時間に含めることを認定した。
 猪狩さんは一次下請けで自動車整備・レンタル業「いわきオール」(いわき市)の整備士で、福島事故後の2012年3月から、原発内で敷地内専用の車両の点検と整備を担当していた。昨年10月26日の昼すぎに倒れ、約1時間半後に病院で死亡が確認された。死因は致死性不整脈とされた。

 

 東電は「病死」と発表した。だが、遺族らによると、猪狩さんは亡くなる半年ほど前から作業に追われて疲労や体調悪化を訴えるようになり、死の3日前からは血圧が上がり、歩くのもつらそうだったという。

 

 今回の労災認定について、猪狩さんと直接の雇用関係にあった、いわきオールは「健康や労務管理は適切にしていた。長時間労働で認定されたなら、当社の認識と違い誠に遺憾」とコメントしている。東電と元請けの宇徳(横浜市)は「直接雇用関係になくコメントする立場にない」としているという。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018110502000125.html