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経産省、新小型原発の開発へ 温暖化対策を名目に。プルトニウム処理も目指す。通常の原発開発も継続。国際的な原発普及パートナーシップ会議「NICE」で表明(各紙)

2018-12-01 11:00:23

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  各紙の報道によると、経済産業省は地球温暖化対策として、現行の原子力発電所に比べて3分の1程度の出力の小型原発の開発を進め、2040年ごろまでに実用化させる方針を打ち出した。同方針は今年5月、米、カナダ、日本が主導する形で、CO2フリーのエネルギーとして原発普及を図る国際パートナーシップ「NICE」に基づく。

 

 東京新聞などが報じた。新方針は11月14日、経産省内で開いた非公開の国際会議で、同省資源エネルギー庁の武田伸二郎原子力国際協力推進室長が表明したという。

 

 小型原子炉は、現在世界で主流の軽水炉の出力が100kW前後であるのに対し、ほぼ3分の1未満の出力となる原子炉をいう。主要機器を工場で製造して現地で据え付ける方式をとれるため、建設コストが安くなるとされる。また出力を調整しやすいとされる。原発保有各国で開発が進んでいるが、まだ実用化には至っていない。

 

 経産省での国際会議に出席した関係者らによると、武田室長は地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」実現のために、原発を活用する方針を表明。国内の多くの原発が2040年ごろに寿命を迎えることを受け、「将来も一定の原発比率を維持するには、新原発の建設に向けて今、準備を始める必要がある」と述べたとしている。

 

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 また小型原子炉の開発目的は「再生エネが増えていくので、これをサポート(補完)する必要がある」とした。天候で変わる太陽光などの不安定な出力をならす必要があり、既存の大型原発より出力を調整しやすい小型原発が必要との見解を示した。

 

 現在、わが国では使用済み核燃料から取り出したプルトニウムが国内外に大量に蓄積し、核不拡散の観点で各国の懸念が高まっている。プルトニウムを大量に燃やす原発を維持する必要性もある。同省は一方で、東京など大都市圏のエネルギー需要を満たす大型の原発も引き続き必要との姿勢で、従来の軽水炉の改良も目指すとしている。したがって小型原発の開発は、従来の原発開発路線をさらに拡大する形となる。同省の方針は近く正式発表されるという。

 

 原発推進の国際パートナーシップのNICEは、今年5月、北欧で開いた第9回クリーンエネルギー大臣会合(CEM9)で公表された。日米カナダの3カ国が中心になって、原発を温暖化対策として推進する「The Nuclear Innovation: Clean Energy (NICE) partnership」の結成を打ち出し、それにロシア、英国、ポーランド、ルーマニア、アルゼンチン、UAEなどが参加している。http://rief-jp.org/ct10/79607

 

 政府が今年夏に決定したエネルギー基本計画は新型炉の研究を進めるとしたが、新設には言及していなかった。世耕弘成経産相は国会で「新設、建て替えは全く考えていない」と答弁しており、新増設を想定した新方針は、従来の立場を翻すことになる。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201812/CK2018120102000131.html