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東京電力、炉心溶融した福島第一原発3号機の燃料プールからの核燃料取り出し作業を開始したが、午後に不具合で一時中断。完了まで約2年の見通し。当初計画からすでに4年の遅れ(RIEF)

2019-04-16 00:23:32

3gouki2キャプチャ

 

 東京電力は15日、福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋の上部に設置されている使用済み核燃料プールからの核燃料の取り出し作業を開始した。炉心溶融(メルトダウン)を起こした1~3号機の中で、取り出し作業を行うのは初めて。初日の作業は不具合で午後にいったん中断した。現場周辺は放射線量が高いため、遠隔操作で約2年かけて取り出す計画だ。当初計画からはすでに4年以上遅れており、今後の作業も難航が予想されている。

 

 (写真は、3号機の建屋屋上をすっぽり覆った作業用のドーム)

 

 3号機プールには、未使用の燃料52体と使用済み燃料514体の計566体が保管されている。作業では、最初に放射線量が低い未使用の燃料の取り出し作業を行う予定。東電の計画では、4月中に試行的に未使用燃料7体を取り出し、作業手順等を確認したうえで、6月下旬から本格的な作業に入る予定。

 

 取り出した核燃料は敷地内の共用プール内に移す。取り出しから移し終えまでには、計画通り進んだ場合で、約2年かかる。政府と東電は、3号機の核燃料取り出し作業を、当初は2014年末にも始める計画を立てていた。しかし、建屋での高線量が作業のカベとなるため、放射性物質が外部に飛散しないよう、建屋上部をすっぽり覆うドーム状のカバーを設置した。

 

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 ドームは、建屋自体が地震による損傷と水素爆発を起こした影響で脆弱なことから、新設したドームの荷重をかけないように建屋を覆う形で建設された。当初、東電はドームの設置とともに昨年11月に燃料取り出し作業を始める計画だったが、機器の不具合等が発生、5カ月遅れでの作業開始となった。

 

 東電では、原発事故で損傷した1~4号機について、炉心溶融が起きなかった4号機では14年12月に全1535体の燃料取り出しを終えている。炉心溶融が起きた原子炉プールからの取り出し作業は、3号機での作業を踏まえて、2023年度には、1、2号機の作業に入る予定としている。

 

プール内には566体の核燃料が眠る
プール内には566体の核燃料が眠る

 

 使用済み核燃料の取り出しは、廃炉の重要な工程の一つ。政府の廃炉工程表では、プールからの燃料搬出と並行して、2021年に原子炉内で溶け落ちた核燃料の取り出しを始めるとしている。しかし、今回の作業が遅れれば全体の計画も先送りされる。

 

 15日の作業では、建屋から約500m離れた免震重要棟内の操作室で、作業員がモニターの画面を見ながら作業を進めた。燃料を取り出すためのアームを遠隔操作で持ち上げ、プールの水中に置いた専用の輸送容器に核燃料を7体ずつ入れる作業を実施した。

 

 午前中に1本目の燃料の取り出しを完了し、午後になって2本目を取り出した際、アームが核燃料の取っ手に引っ掛かるというトラブルが起きて、作業が一時中断した。その後、復旧した。

 

 容器に入れられた核燃料は、建屋の上に取り付けた専用のクレーンを使って30m下の1階まで下ろし、トレーラーに積み込んで、原発敷地内の共用プールに運び、そこで仮置きする手順となる。

 

http://www.tepco.co.jp/decommission/information/newsrelease/reference/pdf/2019/1h/rf_20190415_1.pdf