HOME |台風19号の豪雨で、東電福島第一原発事故で汚染された山林から高濃度汚染土流出、下流に拡散か。一部で基準超過の1万1000ベクレル確認。東京新聞と独協医科大准教授が合同調査(各紙) |

台風19号の豪雨で、東電福島第一原発事故で汚染された山林から高濃度汚染土流出、下流に拡散か。一部で基準超過の1万1000ベクレル確認。東京新聞と独協医科大准教授が合同調査(各紙)

2019-11-18 09:45:26

tokyoshi1キャプチャ

 

   各紙の報道によると、10月の台風19号の大雨の影響で、東京電力福島第一原発事故で放出された高濃度の放射能で汚染された山林の土砂が崩れて道路等に流出していたことがわかった。東京新聞と木村真三・独協医科大准教授(放射線衛生学)が合同で調査した。同調査では放射性廃棄物の基準値内だったが、別途、住民調査で基準超過の放射性セシウム1万1000ベクレルを検出したという。

 

 東京新聞が報道した。調査は台風通過後の10月24~29日にかけて、福島県南相馬、いわき、二本松、本宮各市の土砂崩れや川の氾濫現場、浸水した住宅地の計15カ所で堆積した土砂を採取、セシウムの濃度を測定した。除染していない山林の放射性セシウムが、大量の雨や土砂と共に河川の下流域に流れて汚染が拡散したとみられる。

 

 南相馬市小高では山から路上に流れ出た土砂で、1kg当たり約3000~5000ベクレルのセシウムを検出した。現場は川沿いで住宅地の上流。近くに墓地があり、墓参りで住民が訪ねる場所。原発事故後、山林で除染したのは縁から20mの範囲だけだったため山奥に高濃度の汚染が残っており、その土砂が流出したとみられる。

 

 同じ場所では台風通過直後の同14日、住民の白髭幸雄さん(69)が土砂を採取し、1万1000ベクレル超を検出していた。放射性廃棄物の基準(8000ベクレル)を超える高濃度だった。白髭さんの採取後、東京新聞が採取するまでの間に大雨が降ったことで、汚染土の一部が川に流れ、セシウム濃度が下がったと推測される、としている。下流に汚染土が流れたことになる。

 

 同市原町区の新田川の中・下流域では、氾濫して河川敷にたまった土砂から約460~2000ベクレルを検出。二本松市の畑や本宮市の住宅地にたまった土砂も高濃度ではないものの、汚染が検出された。

 

 木村准教授は「山奥にたまったセシウムが、大量の雨と土砂で拡散されながら下流に流れたと考えられる。局地的に放射線量が高い『ホットスポット』の場所が台風で変わった恐れもあり、被災地に入るボランティアらは感染症対策のためだけでなく、内部被ばく対策でもマスクを必ず着けてほしい」としている。

 

 福島県は台風後に県内4~8カ所の放射線量と泥の測定結果を2回公表した。汚染状況は台風前と同程度としていた。県放射線監視室の酒井広行室長は「山林の奥は除染しておらず、高濃度の土砂の流出は危惧していた。市町村など関係機関と連携して対処していかねばならない」とし、11月中は場所を増やして測定を続ける方針を示した。

 

 除染を担当する環境省の横山貴志子・環境再生事業担当参事官室参事官補佐は「除染後に台風で再び汚染された場所があれば、個別状況を確認した上で、必要な対応を検討していきたい」と語った。

https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019111890070225.html