HOME13 原発 |北海道電力、泊原子力発電所の放射性廃棄物処理建屋からの気体廃棄物の放射性物質放出量の報告値、試運転以来、31年間、計算間違いしたまま報告。「誰も気づかず」と説明。杜撰な管理体制を露呈(RIEF)。 |

北海道電力、泊原子力発電所の放射性廃棄物処理建屋からの気体廃棄物の放射性物質放出量の報告値、試運転以来、31年間、計算間違いしたまま報告。「誰も気づかず」と説明。杜撰な管理体制を露呈(RIEF)。

2019-12-25 19:06:55

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 北海道電力は、泊原子力発電所(古宇郡泊村)の放射性廃棄物処理建屋から放出される気体廃棄物の放出放射性物質の測定値を、同原発の試運転時から31年間にわたって、間違った算定値を報告していた、と公表した。算定値は、安全確認のため、国・北海道のほか、周辺の市町村にも示されるもので、同電力の杜撰な運営体制が明らかになった。

 同電力によると、原発1~3号機から排出される気体状の放射性廃棄物は、フィルターなどで放射性物質を低減した上で、各原発の排気筒や、原子炉建屋に隣接する「放射性廃棄物処理建屋」の焼却炉煙突などから大気中に放出している。

 放出に際しては、放射線モニタや試料採取装置を用いて保安規定で定める放出管理目標値(0.05ミリシーベルト)を十分に下回ることが求められる。同社の説明では、焼却炉煙突から試料を採取する際、配管等の腐食防止のために放射性物質を含まない空気で希釈した上で、報告値を算定する際には、当初の希釈効果を補正する手順だった。ところが、それをしないままの数字を報告していたという。

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 この「報告値の誤り」は、1号機が試験運転に踏み切った1988年10月以来、途中でチェックされることもなく、継続されてきた。なぜ、31年間も、誰も気づかなかったのか。同社は「原因究明・再発防止対策を速やかに取りまとめ、改めて知らせる」としているが、31年間気付かなかったのに、今さら「速やかに」と言われても、信用する人はいないだろう。

 放出されてきた気体廃棄物の放射性物質濃度については、「いずれの項目も、周辺公衆への影響がないように定めた放出管理目標値の概ね数万~数百万分の一程度と、十分に下回っている」と、健康被害になっていないと強調している。

 「放射性廃棄物処理建屋」は、放射線管理区域で発生した紙、布等の可燃物の焼却や防護服等の衣類の洗濯排水等の廃液処理等の作業を行う施設。建屋からの気体の放出経路は、建屋排気口の放出量と焼却炉煙突の放出量の2カ所ある。それらの合計値を報告することになっている。

https://www.hepco.co.jp/info/2019/1247371_1803.html

https://wwwc.hepco.co.jp/hepcowwwsite/info/2019/__icsFiles/afieldfile/2019/12/24/191224_1.pdf