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四国電力、プルサーマル発電からMOX燃料を初めて取り出し。プルトニウム処理促進を目指すが、取り出し後の処理のめど立たず。敷地内保管は永久化(?)(各紙)

2020-01-14 17:49:13

ikata1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、四国電力は13日、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)から、プルサーマル発電で使用した使用済みのプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を取り出した。本格的なプルサーマル発電でMOX燃料を取り出したのは全国で初めて。同発電はプルトニウム処理を目指しているが、現状では核燃料サイクルのメドは立っておらず、取り出しても燃料として使えない。発電コストのほか、保管上の危険性も高まると指摘されている。

 

 MOX燃料は混合酸化物燃料の略称。原子炉の使用済み核燃料中に1%ほど含まれるプルトニウムを再処理で取り出して、二酸化プルトニウム(PuO2)と二酸化二酸化ウラン(UO2)とを混ぜてプルトニウム濃度を4~9%に高めた核燃料をいう。

 

伊方原発の原子炉
伊方原発の原子炉

 

 プルトニウムを燃料として処理できるメリットがあるが、通常の核燃料処理に比べて、核燃料を処理する工程が増えるため事故が発生する確率は相対的にやや高まる、と指摘されている。また、使用済み防護服や、廃水など低レベル廃棄物も含めた最終的な放射性廃棄物の総量が増えるという課題もある。

 

 四国電力でも、取り出した後のMOX燃料の処分方法は決まっておらず、行き先のないまま、敷地内のプールで当面保管するとしている。

 

 今回の取り出し作業は、13日午前0時から開始する予定だった。ところが、12日の準備中に核分裂反応を制御する制御棒1本を誤って引き上げてしまうというミスが発生。安全確認や準備のため、開始時間は同日午後9時にまで大きくずれ込んだ。

 

 伊方原発3号機では、原子炉に入れる燃料集合体157体のうち16体にMOX燃料を使って、2010年3月からプルサーマル発電を始めた。四国電力は四電はMOX燃料について、定期検査を挟んで3回分の運転(1回約13カ月)に使う予定にしていた。しかし、2011年に発生した東京電力福島第一原発事故の影響で長期間停止を余儀なくされた。その結果、燃料が使用されるまでに10年近くかかったことになる。

 

核燃料保管のためのプール
核燃料保管のためのプール

 

 プルサーマル発電は、四国電力以外でも、九州電力玄海原発3号機(佐賀県)、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)でも実施している。高浜3号機も定期検査中で、近く使用済みMOX燃料8体が取り出される予定という。

 

 政府は原発の使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムを再び発電に使うことでプルトニウムを処理するとともに、核燃料効率をあげる「核燃料サイクル」の実現を掲げてきた。プルサーマル発電はそのサイクルの柱の一つ。

 

 しかし、政府のエネルギー基本計画ではMOX燃料の扱いについて「引き続き研究開発に取り組み、検討を進める」と記すにとどまっており、具体的な方針を示せていない。伊方原発には、未使用のMOX燃料がさらに5体あり、四電は次回の運転でもプルサーマル発電を続ける方針という。

 

 「原子力市民委員会」座長の大島堅一龍谷大教授は、朝日新聞の取材に対して、「使用済みMOX燃料は、ウラン燃料より熱量の管理などが難しいとされ、リスク面で問題がある。取り出した後の再処理プロセスも決まっておらず、原発敷地内での当面の保管というのは事実上、永久的に置くことになりかねない。核燃料サイクルが成り立たない中、プルサーマル発電は実質的に目的が失われている」と指摘している。

https://digital.asahi.com/articles/ASN1964X0N19PFIB00C.html

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202001/CK2020011402000140.html