HOME13 原発 |JR常磐線試運転。福島県内の帰還困難区域通過で、車両に付着したチリから、通常より23倍高い放射性物質セシウム137検出。「動労水戸」が調査。東京五輪前の「正常化演出」に疑念(各紙) |

JR常磐線試運転。福島県内の帰還困難区域通過で、車両に付着したチリから、通常より23倍高い放射性物質セシウム137検出。「動労水戸」が調査。東京五輪前の「正常化演出」に疑念(各紙)

2020-03-03 22:15:40

JR1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、JR東日本は、東京電力福島第一原発事故の影響で福島県内で普通となっている常磐線の全線開通(3月14日予定)を目指しているが、同社が走らせた試運転車両が同地区を通過した際に付着したチリから、高濃度のセシウム137が検出されていたことがわかった。JR東日本の労働組合「動労水戸」がフィルターに付着したチリを採取し、「つくば市民放射能測定所」(茨城県つくば市)が分析、検出した。

 

 (写真は、JR常磐線の車両の床下に設置された空冷装置のフィルター(動労水戸提供):東京新聞から)

 

 東京新聞が伝えた。常磐線は富岡(福島県富岡町)-浪江(浪江町)間の20.8kmが今も不通となっている。不通区間の沿線一帯は放射線量が高く、住民が戻る見通しが立たない帰還困難区域に指定されたままだ。しかし、JR東日本は東京五輪前に同線の全面開通実現するため、昨年12月18日に試運転を開始した。

 

JR2キャプチャ

 

 動労水戸は、試運転に使われた車両は、1月18~22日の5日間運行した。動労水戸は、JR東日本勝田車両センター(ひたちなか市)で、同車両の空冷装置に取り付けられたフィルターのチリを採取。福島事故で被害を受けた農作物や土壌の放射性物質を調べている「つくば市民放射能測定所」(つくば市妻木)で濃度を測定した。

 

 その結果、セシウム137が1kg当たり2350ベクレルという高濃度で検出された。6カ月間通常運行した車両のフィルターのチリから検出されたセシウム137は101ベクレルで、試運転車両は23倍も高濃度だった。

 

 動労水戸によると、勝田車両センターでフィルターの洗浄作業に携わる整備員は約50人。マスクを着けていても、作業によって鼻の中まで真っ黒に汚れるという。動労水戸の木村郁夫委員長は「JRは車両の線量をきちんと測定し、公表すべきだ」と指摘している。

 

試運転車両
試運転で走行する車両

 

 動労水戸はこれまでJR東日本に対し、車両が帰還困難区域内を運行する場合、全車両の線量測定のほか、整備員の被ばく防止教育や防護用具の配備などを要求してきた。しかし会社側は「車両の測定を実施する考えはない」と拒否しているという。動労水戸は今後、今回の調査結果を会社側に示し、車両の測定などを重ねて求めていくとしている。

 

 調査を担当した照沼靖功(やすのり)書記長は「車両に放射性物質が付着するのは明らか。整備員がチリを吸い込み、内部被ばくする危険性は高い」と訴えている。

 

 東京五輪誘致のため、安倍首相が2013年の最終プレゼンテーションで福島の状況を「The situation is under control」(状況はコントロール下にある)と発言したのは、今も耳に新しい。「私が安全を保証します。状況はコントロールされています」。

 

 そのうち、「コロナウイルスもアンダーコントロール」と言い出しそうだ。しかし、世界は今度は信じないだろう。

 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/202002/CK2020022902000138.html?fbclid=IwAR3E5xyNl9HPfLa4aV9Lk1PJ6X4P1ozBXtVptcMq3NovCLPhgxWWrstGk0o