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日本のCSR・ESG分野の論客、ロイドレジスタージャパンの冨田秀実さん。代表取締役に就任(RIEF)

2020-11-13 00:14:15

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  日本のCSR、ESG分野の論客として知られるロイドレジスタージャパンの冨田秀実さんが、先月、代表取締役に就任した。冨田さんはソニーのCSR部門を率いた後、ロイドレジスターに転身した。客観的な判断力と、国際的な視点で、日本企業のCSR、ESG活動等に幅広いアドバイスを展開している。

 


 冨田さんは、ソニーのCSR部門の部長として、世界の電子機器業界のCSR活動の行動規範となる「Electronic Industry Citizenship Coalition(EICC)、現在は、RBA(Responsible Business Alliance)」の設立に関わり、日本メーカーとして最初に参画したほか、国際標準化機構(ISO)のCSR規格であるISO26000のコミュニケーション担当タスクグループ座長を務めるなどの役割をこなしてきた。いわば、日本企業のCSR第一世代のリーダーの一人だ。

 

 ロイドに転職後は、コンサル・アドバイザーとして、日本企業のESG、サステナビリティ戦略を指導してきたほか、政府や業界団体等の委員会やセミナー等でも活躍している。

 

 CSRからESG・サステナビリティへと転換する日本の状況について、冨田さんは「2015年が一つの転機だったと思う」と振り返る。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の設定と、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の責任投資原則(PRI)への署名をあげる。

 

 「以前は一部の企業の取り組みだったのが、2015年くらいから世の中の受け入れが変わってきた。最近は、米国のラウンドテーブルも株主第一主義からの脱却を打ち出しているが、より幅広いステークホルダーを意識した経営という意味合いでは、CSR元年と言われたころ(2003年)と、本質的に目指すところはあまり変わっていないと思う」

 

「ただし、最近は、気候変動の影響の顕在化は言うに及ばず、国連指導原則や海外での法制化により、その意味合いがようやく腹落ちして、人権等のネガティブインパクトにも意識的に取り組む動きも出てきた」。この間の広がりの手応えも指摘する。

 

 そのうえで、課題として「ESG評価やインデックス等への採用のためスコアをあげることを中心に取り組む企業もあるが、それだけで本質的な時代の変革についていけるのか、という疑問はある。表面的な対応にとどまる企業の一方で、サステナビリティ課題を本質的なビジネス課題としてとらえている企業もある。また、まだあまり関心がないという企業も依然として存在し、3極に分かれてきている気がする」と分析する。

 

 新型コロナウイルス感染の拡大で、代表取締役に就任しても、在宅勤務が大半。運動不足解消のために、ジョギングを再開したという。

 

 冨田さんは、1988年東京大学工学部物理学科卒、ソニー入社後は中央研究所研究員、プリンストン大学工学部修士、ソニーインターナショナルヨーロッパ環境センターシニアマネジャーなどを経て、CSR統括部長。2013年にロイド・レジスター・クオリティ・アシュアランス・リミテッド(LRQA)ジャパンに転職。2016年より、ロイドレジスタージャパン取締役を経て、今回、代表取締役。

 

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