HOME2. 保険 |三井住友海上火災保険、シンガポール市場でキャットボンド(大災害債)1億㌦を発行。国内の台風・洪水被害のリスクヘッジ。日本勢のシンガポール市場での発行は初めて(RIEF) |

三井住友海上火災保険、シンガポール市場でキャットボンド(大災害債)1億㌦を発行。国内の台風・洪水被害のリスクヘッジ。日本勢のシンガポール市場での発行は初めて(RIEF)

2020-04-07 17:36:29

MS&AD3キャプチャ

 

 MS&ADインシュアランス グループの三井住友海上火災保険は、 国内で増大する台風や集中豪雨等による自然災害リスクを対象とする大災害債(キャットボンド)の「Akibare Re 2020-1」を1億㌦(約108億円)分、シンガ ポール市場で発行した。 シンガポールはキャットボンド等の保険リンク証券の発行に補助金制度を設けるなど、市場の活性化に取り組んでおり、日本の保険会社として初めて同国市場でのキャットボンド発行に踏み切った。

 

 キャットボンド(Catastrophic Bond)は、保険会社が再保険ではカバーしきれない大規模なリスクを、資本市場でボンドを発行することでリスクヘッジを実現すると同時に、債券市場の投資家にハイリスク・ハイリターンの投資機会を提供する金融商品。

 

MS6AD1キャプチャ

 

 我が国は昨年の台風15号、19号被害をはじめとして、毎年のように台風や集中豪雨による自然災害が増大し、保険会社の保険金支払額も増大している。そこで同社では、再保険市場の不透明性の高まりに対応するため、再保険カバーの調達手段を多様 化させる手段の一つとして、自らキャットボンドを発行して、リスク分散をすることとした。

 

 発行するキャットボンドは「Akibare Re 2020-1」が名称。同社がシンガポールに設立した特別目的会社「Akibare Re Pte.Ltd」が発行元となる。期間は2024年3月末までの4年間。対象リスクは、日本国内で発生する台風リスクと同じく国内の洪水リスクの二種類。発行額1億㌦に対する利回りは、担保債券の利回り+2.75%と高い。アジアの機関投資家等が購入したとみられる。

 

MS&AD2キャプチャ

 

 同ボンドでは、自然災害の発生によって生じた損害が、あらかじめ設定した条件を超過した場合、その超過額に応じて投資家へ償還予定の元本の一部または全部を、再保険金に充当する。条件を超えない損害額の場合あるいは災害が発生しない場合は、投資家は元本の償還とともに高い利回りを得ることができる。

https://www.ms-ins.com/news/fy2020/pdf/0407_1.pdf