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日本生命と第一生命、新型コロナウイルス対策で国際公的金融機関発行の「コロナボンド」を相次いで私募引き受け(RIEF)

2020-04-26 15:04:41

IFC33キャプチャ

 

 新型コロナウイルス感染対策で、国際公的金融機関が相次いでソーシャルボンド等を発行しているが、日本の大手生命保険が相次いで引き受けに動いている。日本生命が国際金融公社(IFC)発行の2億豪㌦(約131億円)を引き受けたのに続いて、第一生命保険はアジア開発銀行(ADB)発行のヘルスボンド、1億3000万カナダ㌦(約100億円)を引き受けた。

 

 (写真は、IFCの新型コロナウイルス対応の資金使途先)

 

 両国際公的金融機関発行のボンドはいずれも、資金使途が途上国での新型コロナウイルス感染対策に活用される「コロナボンド」だ。両生保はともに、IFCとADBの各発行分を全額、私募で引き受けた。このため発行条件等は公表されていない。

 

 IFCのソーシャルボンド発行は、同機関のコロナウイルス対応プログラム(総額140億㌦)の一環。IFCはすでに同プログラムに基づき、10億㌦のドル建てと、30億スウェーデンクローナ建て(約2億9800万㌦)のコロナ対応ソーシャルボンドを発行している。日生が引き受けた豪ドル建て私募債はそれに次ぐものだ。調達資金は、パンデミックの影響で打撃を受けている途上国のサプライチェーン関連企業や、ヘルスケア、医療関連産業への支援にも活用される。http://rief-jp.org/ct6/100459?ctid=66

 

途上国でも医療機器、マスク等の不足は深刻
途上国でも医療機器、マスク等の不足は深刻

 

 一方、アジア開発銀行も新型コロナ対策で総額65億㌦規模の資金計画を公表している。同支援策には、感染症予防・看護のために必要な医薬・医療品の供給、深刻な呼吸器疾患治療に必要な医療機器の調達等、途上国向けの保健衛生・医療関連プロジェクト等が含まれる。第一生命が引き受けた私募債もそうした支援策のための資金に活用される。

 

 新型コロナウイルス対策で、IFCやADBのほかにも、途上国への資金対応として世界銀行などの国際公的金融機関が相次いでソーシャルボンド等を発行、市場から調達した資金で途上国支援を進めている。信用力のある国際公的機関が発行するソーシャルボンド等を、主要な機関投資家が私募で引き受けることで、市場の長期資金を途上国向けに安定的に供給するとともに、機関投資家側は長期安定資金運用と、ESG運用の両面の投資需要を満たすことができる。ソーシャルボンドの一つのあり方が、図らずも確立した形でもある。

 

 日生も第一生命も、今回のコロナウイルス感染対応での私募引き受けを、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献としても位置付けている。

 

https://www.nissay.co.jp/news/2020/pdf/20200410.pdf

https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2020_008.pdf