HOME |東京海上日動、商船三井系等と連携し、小型観光船や内航運送船等の「ゼロ・エミッション船開発」で連携合意。瀬戸内海に「CO2なし、騒音・振動なし」の航路開発へ(RIEF) |

東京海上日動、商船三井系等と連携し、小型観光船や内航運送船等の「ゼロ・エミッション船開発」で連携合意。瀬戸内海に「CO2なし、騒音・振動なし」の航路開発へ(RIEF)

2020-06-15 15:27:40

aquanet001キャプチャ

 

 東京海上日動火災保険は商船三井テクノトレード等と連携し、水素を活用したゼロ・エミッション船等を開発する「せとうちクレイドルプロジェクト」の基本合意書を結んだ。開発するのは、大型船ではなく比較的エネルギー量が少ない小型観光船や内航運送船で、東京海上は技術導入に伴うリスクマネジメント、同ファイナンスの検討を担当する。

 

 (写真は、連携に加わる広島の「アクアネット広島」が運航する小型観光船)

 

 連携するのは、2社のほか、ヤンマーマリンインターナショナルアジア、アクアネット広島の4社。4社は水素等を動力源として活用するゼロエミッション船の開発を進めるとともに、それらの船舶の操船に関するナビゲーションシステムの導入等によって、航行時の安全性の高度化の実現も目指す。

 

 大容量のエネルギーを必要とする大型船のCO2削減対策については、造船会社や海運会社等がそれぞれ取り組みを進めている。今回、4社が目指すのは比較的必要とされるエネルギー量が少ない小型観光船を対象にモデル事業を実施し、その成果を小型船舶や内航輸送船の技術開発に生かすことだ。

 

 プロジェクト名の「せとうちクレイドルプロジェクト」は瀬戸内海のような内海で運航する船を、「ゆりかご(クレイドル)」のように、より静かに走らせることを意味している。水素等の動力源を活用することで、航行時のエンジン音はなく、CO2も振動・騒音もない優しい船になるわけだ。

 

 ゼロエミッション船の安定的な運航管理のため、陸上から船舶の燃料となる水素等を供給するシステムについても、今回のモデル実験地区となる広島県に設定した海域で、広島大学、東京大学先端科学技術研究センター、エネルギーインフラ関連企業等との産学官連携で取り組むとしている。

 

 プロジェクトでの今後の検討内容としては5項目を掲げている。① 小型観光船を念頭に置いた水素等の利活用によるゼロ・エミッション船、または同等機能の船舶の開発検討。航行中の船内環境の静寂性も維持②自律運航に関する技術を活用した高度有人型航行支援システム等の導入③陸上での運航モニタリングの実施④開発した船舶の実践投入を前提とした共同事業化のビジネスモデルの検討⑤導入する技術に関するリスクマネジメントならびにリスクファイナンスの検討。

 

 また開発船舶の補助的エネルギー源として、太陽光や風力等の再エネ設備の採用も併せて検討するとしている。

 

https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/200615_01.pdf