HOME |日本生命保険、「インパクト投資」に進出。投資先の社会貢献度合いを測定して投資。米投資会社に、まず約20億円分投資と国内のスタートアップ企業に約100億投資へ(各紙) |

日本生命保険、「インパクト投資」に進出。投資先の社会貢献度合いを測定して投資。米投資会社に、まず約20億円分投資と国内のスタートアップ企業に約100億投資へ(各紙)

2020-07-14 01:26:32

nissei001キャプチャ

 

 各紙の報道によると、日本生命保険は投資先の活動による社会貢献の度合いを見極めたうえで投資する「インパクト投資」に乗り出す。今月中に、同分野で実績をあげている米投資会社のTPGに約20億円を投資するほか、国内でも社会課題の解決に取り組むスタートアップ企業を対象に、年約100億円を投資する。3年後には全体で年間300億円規模を投資する計画としている。

 

 日本経済新聞が報じた。インパクト投資は、投資先のESG要因を重視するだけでなく、投資実行に伴って社会にもたらす効果を測定した上で投資する手法だ。世界のインパクト投資市場は2019年末で前年比4割増の7000億㌦(約75兆円)を超えるとの指摘もある。米KKRなどの大手が、2019~20年に相次いでファンドを立ち上げている。

 

 日生はこれまでも、グリーンボンド投資などサステナブルファイナンスに力を入れてきた。これまでの成果を踏まえ、より投資インパクトを高めるために、TPGと連携することを決めた。同社の投資ファンドに投資することで、実際の投資リターンを得るとともに、インパクト投資のノウハウを学ぶ。TPGは事業の社会への貢献度を国内総生産(GDP)などの価値に換算する手法に強みがあるという。

 

TPG001キャプチャ

 

 投資の軸になるインパクトの測定は、たとえば、遠隔地に医薬品をドローンで配送したり、農村部で太陽光発電を展開する企業に投資する場合は、医療環境や社会インフラの改善などを測定する。測定結果によって投資効果に注目が集まると、さらに社会解決に取り組む企業に資金が集まる。そうなると、当該企業の収益力が一段と高まって、投資資金がさらに集まるという好循環が生まれる期待がある。

 

 今回、日生が投資するTPGのファンドは、新型コロナウイルス感染関連の医療スタートアップなどに投資して、年率1割を上回る利回りを見込んでいるという。TPGは社会への貢献度を事前に推計し、投資後も定期的にデータを測定・公表する。データ分析は詳細だ。例えば、投資先が創薬の企業なら、収益だけでなく服用人数や普及に伴う経済効果などのデータも検証する。

 

 さらにTPGのノウハウを吸収したうえで、3年後をメドに単独の投資も始める予定だ。日生の総運用資産規模は、約67兆円。日本の生保最大で、ユニバーサルオーナーでもある。日生がインパクト投資に本格的に乗り出すことで、国内の他の金融機関が追随する可能性もある。

https://www.nissay.co.jp/news/

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO61463730T10C20A7MM8000?type=my#AAAUAgAAMA