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東京海上ホールディングスも、新規石炭火力発電の保険引き受け、投融資停止を宣言。損害保険ジャパンに次ぐ。海外案件は個別判断、既存事業は継続の「例外措置」も同様(RIEF)

2020-09-28 22:48:05

tokio001キャプチャ

 

 東京海上ホールディングスは28日、「気候変動に対する基本的な考え方」を公表、その中で、気候変動を加速する石炭火力発電所について、原則として新規の保険引受、投融資を実施しないと宣言した。新規石炭火力事業へのファイナンス原則停止を公表するのは損害保険ジャパンに次ぐ。一方で、再生可能エネルギー事業向けの保険引き受けは推進し、投融資にも力を入れる。10月1日から実施する。http://rief-jp.org/ct2/106826

 

 対象となる保険は、建設工事保険、火災保険、施設賠償など発電所の建物に関わる保険の全般が対象になる。保険引き受けがないと事業の立ち上げは困難で、新規の石炭火力発電建設はほとんどストップすることになる。

 

 ただ、先に石炭火力事業の保険引き受け停止を発表した損保ジャパンと同様、東京海上も、海外の石炭事業については「当該国のエネルギー政策・エネルギー事情や事業継続の事情等を考慮し、OECD公的輸出信用アレンジメントなどの国際的ガイドラインを参照した上で、総合的に判断、引き受けることもある」と個別判断対象とした。国内で既に保険を引き受けている発電所の保険は引き続き継続し、先進的な高効率発電技術や「CCUS/カーボンリサイクル」の採用など、低炭素化の取組みを企業側に提案・支援するとしている。

 

  新規石炭火力事業の保険引き受け停止・投融資停止を原則とし、途上国案件や既存事業は個別判断で例外とするという方針は、損保ジャパンと同じ路線だ。三井住友海上火災等を抱えるMS&ADインシュアランスグループも近く、同様の方針を打ち出すとみられている。大手損保3社の石炭火力事業向けの対応は、基本的に銀行の3メガバンクの対応と同じで、日本の金融界の横並び体質を明瞭に反映しているともいえる。

 

 「新規」と「既存・海外」とを別扱いする「日本の縮石炭」方針だが、欧州の保険会社等は、そうした区分ではない。対象企業の売り上げに占める石炭関連産業の比率等を基準として判断する方式が多い。石炭火力からのCO2排出全体を抑制することを重視するためだ。新規のみの停止だと、既存の排出量は減らず、各発電所の償却期間が過ぎ、耐用年数が終わるまでCO2排出し続けることを許容し続けることにもなる。

 

 同社は、再エネ向けの保険引き受けや投資については、一段と強化する方針を示した。同社はこれまで、太陽光発電会社向けの「メガソーラー・パッケージ・プログラム」や地熱発電事業者向けの「地熱パッケージプラン」、「洋上風力発電向けパッケージ保険」な ど、保険とサービスを含めたリスクソリューションを提供している。今年6月には、世界各地の再エネ事業向けに保険を提供しているGCube社を傘下に抱えたことで、グループとしての再エネ事業保険の専門性が高まったと強調している。

https://www.tokiomarinehd.com/release_topics/release/l6guv3000000bafl-att/20200928_j.pdf