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日本生命と原発の関係(Greenpeace)

2012-06-14 18:36:47

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ニッセイレディーで知られる日本生命保険相互会社(以下、日本生命)。日本最大の機関投資家とも言われる日本生命と電力会社との関係をご存じだろうか?

日本生命は、原発をもつ電力事業者9社とJ-POWERを合わせた10社の株を保有する唯一の機関投資家だ。そのうち、最近になって保有株を減らした東京電力を除く9社において大株主の上位3位に入っている。2012 年4月下旬時点のこれら10 社の保有株の時価総額は約2,300億円で、第2位や第3位の保有者の時価総額1,000億円弱を遥かに上回っている。

また、日本生命は競合他社に比べて遥かに多くの原子力発電所関連株を保有している。例えば、明治安田生命は中部電力と九州電力のみにおいて上位株主3社に入っているにすぎない。第一生命が保有する原子力関連株は東京電力のみで、その他の生命保険会社が保有する原子力関連株はさらに少ない。

日本生命は、電力会社の最大株主なのだ。

 

3.11で多額の損害を被った日本生命

2011年度の電力9社の損失総額は1兆5000億円と言われる。関西電力の2010年度の純利益は1,230億円だったが、2011年度の損失は2,420億円だった。中部電力は2010年度の340億円の純利益から2011年度は920億円の損失。東北電力の損失は前年度の340億円から2,320億円に増大した。

このように、原子力への依存度が高ければ高いほど、損失は大きかった。2011年度の株価の下落と原子力発電所依存度の一般的な相関関係は、以下の図の通り明らかだ。

日本生命が保有する電力9社とJ-POWERの2億株超の市場価値は、2012年3月10日時点では 4,700 億円であったが、同年4月下旬にはその価値が半減した。これには原発メーカーへの投資が被った損失は含まれていない。2,300 億円の損失は前年の営業利益に等しいし、また、2010 年度に保険契約者へ支払われた配当金の総額に等しい。

日本生命は相互会社であることから、このような損失は900万人の契約者の直接のダメージとなる。2012 年5月初旬、日本生命は9 年ぶりに株主・契約者の配当を削減することを発表している。

 

原子力発電の泥沼から抜け出すために — 日本生命の役割

原子力産業に多額の投資を行っている日本生命は、あらゆる損失の泥沼にはまっている。損失を覚悟して原子力関連株を手放すか、それとも契約者や顧客の意向を公然と無視し将来の顧客獲得の望みも捨てるか。原子力関連株を今手放すことで日本生命が被る損失は、2,300億円である。

この泥沼から抜け出すには、日本生命はより積極的な役割を担う必要がある。

今月から、各電力会社の株主総会が始まる。

進歩的な脱原発株主提案に賛成するにとどまらず、電力会社のずさんな経営を見過ごしてきた責任を今こそ果たすべきだ。

原子力や化石燃料のように人々の健康に悪影響を与えない自然エネルギーを支援していくことは、日本最大の生命保険会社にとって重要なことであるだけではなく、企業イメージの向上などのプラスも多いはずだ。

ぜひ、日本生命には、その株主としての力を行使することで各電力会社を脱原発、自然エネルギー促進へと導いてほしい。

 

6月12日、グリーンピースは、2つの調査レポートを発表した。

日本生命と電力企業との関係について、詳細はぜひレポートを読んでほしい。

レポート 『日本生命と原子力産業』 (PDF)

レポート 『原発 – 21世紀の不良資産』 (PDF)

 

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/dblog/blog/40919/