HOME2. 保険 |EUの洪水被害額、2050年までに倍増の恐れ 温暖化と経済発展が影響 国際研究(AFP) |

EUの洪水被害額、2050年までに倍増の恐れ 温暖化と経済発展が影響 国際研究(AFP)

2014-03-03 10:37:26

オーストリア北部ウンターロイベン(Unterloiben)で、即席の橋で冠水した道路を渡る住民(2013年6月4日)
オーストリア北部ウンターロイベン(Unterloiben)で、即席の橋で冠水した道路を渡る住民(2013年6月4日)
オーストリア北部ウンターロイベン(Unterloiben)で、即席の橋で冠水した道路を渡る住民(2013年6月4日)


【3月3日 AFP】欧州連合(European Union、EU)の洪水被害による損失が、2050年までに2013年の損失総額の2倍となる年間235億ユーロ(約3兆2800億円)に達する可能性があるとの研究論文が2日、英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)」に発表された。気候変動と経済発展がその理由として挙げられている。

オーストリアの「国際応用システム分析研究所(International Institute for Applied Systems Analysis、IIAS)」などの研究チームが発表した論文によると、洪水による損害額は、2000年~2012年では年間平均49億ユーロ(約6800億円)だったが、2013年には120億ユーロ(約1兆6800億円)に増加したという。

また論文によると、2050年までの予測される増加分の3分の2は、洪水の発生が予想される地域の資産に対するリスク増加で説明され、残る3分の1は地球温暖化によって引き起こされる降雨傾向の変化で説明されるという。

2013年に全世界を襲った洪水に匹敵する程の重大な被害をもたらす洪水は、統計平均で約16年に1度の頻度で発生する可能性があるが、この発生率は2050年までに10年に1度に上昇すると論文は警告している。

今回の研究では、水文学、経済学、数学、気候変動への適合などの研究分野を統合して、欧州における洪水リスクの概算的な評価を行った。

EU各国は関係強化を

研究を通じて出された評価は、河川流域1000か所以上での河川流出と、現在および将来の洪水防止計画に関するデータに基づいている。シミュレーションでは、今世紀に2.8度の気温上昇が起きるとするいわゆる「SRES 1B」気候モデルが用いられた。

また、今後見込まれる資産価値の増加や水害の起きやすい地域での建築物の増加など、社会経済学的要因も考慮された。

こうした問題に取り組むには、大掛かりな対策を講じる必要があるため、EU各国は災害を防止・対処するために協力関係をより一層強化しなければならないと論文の執筆者らは警告している。

IIASのステファン・ホックライナー・スティグラー(Stefan Hochrainer-Stigler)氏は「欧州中部で氾濫した河川は、東欧地域でも洪水を起こす可能性が高い」と指摘する。

同氏はEUの災害復旧基金に言及して、汎欧州基金のような災害リスクに対する資金面の備えを確保する仕組みへの圧力の増大に対応できるように準備する必要がある」と述べる

また「洪水が1度発生すると、経済上および政治上の境界線に関係なく、短期間に広い範囲に影響が及ぶ恐れがある」とも説明している。

http://www.afpbb.com/articles/-/3009596?pid=0