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温暖化進行による自然災害増加で 損保各社が火災保険の10年超の長期契約停止へ 来秋にも(FGW)

2014-09-14 21:53:03

集中豪雨の土砂崩れで家ごとつぶされた広島市内の家
集中豪雨の土砂崩れで家ごとつぶされた広島市内の家
集中豪雨の土砂崩れで家ごとつぶされた広島市内の家


各紙の報道によると、損害保険大手各社は、温暖化による集中豪雨などの自然災害増加の多発を受けて、住宅や店舗などを対象とした火災保険について、契約期間10年超の長期引き受けを停止する方針を固めた。

 

今年の日本は、西日本を中心として中豪雨による住宅被害が各地で相次いだが、損保各社はこうした現象は一時的な異常気象ではなく、地球温暖化の進行に伴って起きている構造的な気候変動の要素が大きいと分析している。温暖化の進行は今後さらに進むとみられることから、長期の住宅や建物の保険契約を結ぶと、保険会社にとって支払リスクが通常以上に高まり、収支計算が困難になる可能性が強まるとみている。

 

こうしたことから、各社は保険契約期間が10年を超えて保障する長期契約を停止し、契約者には一定期間後に新たな契約に切り替えてもらうことで、保険契約の継続と、保険会社のリスク軽減を両立させることを目指すとしている。長期契約の新規引き受け停止は、来年秋にも実施する方針で、すでに金融庁など関係当局と調整が進んでいる模様。ただ、すでに10年を超える既存の長期契約は契約期間満了まで維持される。

 

ただ、10年を超える長期の火災保険は、住宅ローンの締結と合わせて契約するケースが多く、今後は、住宅ローン連動の火災保険契約について、契約更新時の条件をどうするか、などで住宅ローン購入者は頭を悩ましそうだ。

 

温暖化の影響で激化する自然災害によって、企業の経営や商品戦略が左右されるケースは、衣料品や食品などの業界でも起きている。また、集中豪雨などにより、工場の操業が停止したり、オフィス機能がマヒする事例も増えている。保険会社はそうした企業の操業リスクに対する保険も提供しているが、このまま有効な温暖化対策が打ち出されないと、さらなる保険契約条件の見直しに加え、保険引き受けの停止などの可能性も高まりそうだ。