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エクエーター原則“優等生”のBTCパイプラインで人権侵害認定。日本のメガバンクも融資

2011-03-11 12:28:05

国際的プロジェクトファイナンスの自主的環境配慮基準のエクエーター原則の最初の適用事業となったBTC(バクー・トリビシ・ジェイハン)をめぐる地域住民への人権侵害問題で、英国政府機関が事業主のBPに対し、対応の指示とエクエーター原則の遵守状況等を報告するよう勧告した。同事業には、伊藤忠が出資しているほか、みずほコーポレート銀行が協調融資に参加している。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)のプロジェクトファイナンス資産を買い取る三菱東京UFJ銀行も対象金融機関になる公算がある。

BTCパイプラインはカスピ海の油田を欧州に供給するために建設された総延長1768キロメートルのパイプライン事業。アゼルバイジャンの首都バクーとグルジアの首都トリビシを経由、そしてトルコの地中海沿岸南東部の港町ジェイハンまでを結ぶ。事業主体は英石油メジャーのBP。総事業費は39億㌦で、国際金融公社、欧州復興開発銀行、英国をはじめとする7カ国の輸出信用機関、そして15の国際金融機関が融資した。工事は2003年に開始され、05年5月に最初の原油が輸出され、事業が続いている。

 同事業はプロジェクトファイナンスの環境影響を金融の視点でチェックするエクエーター原則の最初の適用事例となった。特に各国をパイプラインが経由することで、環境への影響、さらに経由地域の住民は土地を収用される一方で、十分な経済的メリットが得られないことなどから、部分的に反対運動なども起きていた。今回の英国政府の決定は、同事業に英国の輸出信用を活用していることで英国民の税金が一部供給されていることからの判断。

 決定は英国National Contact Pointt(NCP)の裁定として示されている。NCP裁定は、住民団体等からの個別の苦情、批判に対しては勧告しないとしながらも、BPは対象地域全体での住民の一般的な不満に対応する必要があることと、そのための手続きを強化し、パイプラインの安全面確保に伴う住民との軋轢の状況や、エクエーター原則の趣旨の遵守状況への対応などを公表するよう勧告した。

 同事業には日本勢も関与している。事業そのものに伊藤忠が出資者として加わっているほか、融資者としてみずほコーポレート銀行が入っている。上述のように三菱東京UFJがRBSの同事業債権を受け継ぐ可能性もある。エクエーター金融機関にとっては、同事業が原則違反となると、対応を迫られることになる。詳細はEnglish版のBankTrackのNEWSを参照.http://financegreenwatch.org/?p=295