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国連の潘基文事務総長 気候変動対策で保険業界のリーダーシップを要請。自然災害対策の保険商品開発と、CO2高排出企業への投資抑制の両面で(FGW)

2015-06-20 22:34:37

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国連の潘基文事務総長は、ニューヨークで開いた国際保険協会グローバル保険フォーラムで演説、「気候変動による自然災害の増加等の問題を解決するうえで、保険産業は非常に重要な役割を演じる立場にある」と、保険機能を活用して気候変動の影響を緩和する活動を求めた。また、仏保険大手のアクサが最近、石炭関連産業などへの投資資産を引き上げる判断をしたことを評価、保険産業の投資先選別行動の明確化も求めた。

 

 国際保険協会のフォーラムは国連本部で開いた。潘事務総長は、年末にパリで開催を予定している国連気候変動枠組条約第21回締約国会議での国際合意に向けて、7月に、持続可能な経済発展を目指すために開く第3回開発金融国際会議(エジプト)、9月の国連特別サミット(ニューヨーク)、そしてCOP21へと続く、一連の会議の重要性を強調。地球温暖化に歯止めをかける国際的な枠組み合意を確実に実現することの重みを訴えた。

 

 演説の中で潘事務総長は、特に保険産業の役割の重要性を指摘した。気候変動の激化による自然災害の増加の被害を最小化するために、金融商品として提供する保険の役割が求められることと、投資家としてCO2排出量の多い産業・企業への投資を減らす両面で、リーダーシップを期待されるためだ。

 

 事務総長は「気候変動の加速によって、気候がらみの災害が今後、各地で頻繁発生し、かつ被害の増大が予想される。今こそ、気候変動リスクを緩和するだけでなく、そうしたリスクを安全で持続可能な発展のための機会に改めるために、リスクを削減し、社会の適応力を高めるためのグローバルな行動をとるべきだ」と述べた。

 

  保険業界は昨年9月に国連が開いた気候変動サミットで、2015年末までに気候変動関連投資を倍増させると宣言した。事務総長は、「今その実行の時である」と述べ、仏保険大手のアクサなどが、CO2排出量増加の元凶となっている石炭火力関連産業や企業への投資削減(decarbonization)を約束したことを讃え、さらに、低炭素インフラへの投資促進や、気候変動を抑制・適合するための新たな保険商品・サービスの開発で競い合うよう要請した。

 

 フォーラムには世界中から保険業界のトップ経営者らが参加した。保険業界は気候変動の激化によって、保険金支払いが増加するという本業への影響も受ける立場にある。国連は、途上国での気候変動対策への資金供給のため、金融機関の役割を重視しているが、特に保険業界については、本業のリスクマネジメントにもかかわる問題だけに、金融業界の中でリーダーシップを発揮するよう呼びかけた。

 

http://www.un.org/sg/statements/index.asp?nid=8729