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東京海上日動 地熱発電事業による「温泉影響」の損害賠償保険新設。温泉の湯量・湯質に影響与えた場合の損失補償(各紙)

2016-06-14 11:44:45

chinetsuキャプチャ

 

 各紙の報道によると、東京海上日動火災保険は今月から、地熱発電事業向けの賠償責任保険を販売する。地熱発電開発が周辺の温泉に影響を与えた場合の費用等を保険でカバーできる。地熱発電に伴う温泉被害補償の保険は国内で初めて。

 

 地熱開発の適地は、温泉の適地でもあることから、地熱発電は開発の処理段階から、周辺の温泉業者の間から、温泉の湯量の枯渇や湯質の変化を警戒する声が指摘されるケースが多い。このため、事業計画自体がスムーズに進展しない原因にもなっている。

 

 また実際に問題が発生した場合、地熱発電事業者は、被害を受けた温泉の状況を調査する費用や、温泉の営業に支障が生じた場合の損失額を負担しなければならないが、そうした費用の算定等を保険でカバーすることが出来る。事業者にとっては開発段階、操業段階の追加的費用の発生を見込みやすくなる。

 

 通常、温泉の湯量等に影響が生じた場合、ボーリング調査で調べるが、温泉が深度にある場合が多く、調査費要は500万~3000万円かかる場合もあるという。万一、温泉地の旅館等の営業を休止しなければならない自体に陥ると、地熱発電の売電費用では賄えないほどの負担が起きる可能性もある。また地熱発電事業を組み込んだ投資ファンドなども「温泉リスク」の存在は円滑な資金調達に支障となる。

 

 ただ、実際の温泉被害の状況を確認するのは、自然の変化もあるため、容易ではない。そこで東京海上では、地元の地方自治体と温泉業者が加盟する温泉協議会が湯量の減少や湯質の変化を確認した場合、原因調査の費用を補償するという。

 

 地熱発電は政府の固定価格買い取り制度(FIT)の対象になっており、発電容量15,000kW以上の場合、1kWh当たり26円(税抜き)、15,000kW未満の場合で同40円(同)の買い取り価格が設定されている。国の長期エネルギー需給見通しでは2030年度までに地熱発電の設備容量を現在の約3倍に相当する155万kWに増やす計画だ。

http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html