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三井住友海上 気候変動等の「大災害リスク」に備える「キャットボンド」の代行発行サービス開始(RIEF)

2016-07-13 14:27:00

mitsuisumitomokaijyoキャプチャ

 

 三井住友海上火災保険は、気候変動の進展や地震等の大規模災害の増加で企業が被る「大災害リスク」に備えるためのキャットボンド(大災害債券)の代行発行業務を開始した。

 

 キャットボンドは「Catastrophe Bond」の略。一般にインフラを抱える事業体や設備の多い大企業などが操業停止リスク等をカバーするために発行する例が多い。実際の災害等がない場合は、通常の債券よりもかなり高い利率が投資家に支払われる。しかし、災害等が発生すると、発行体に契約条件に応じた資金を支払うため、債券の償還元本が減少する仕組みだ。


 保険会社はこれまでも、大災害の発生や、気候変動に伴う集中豪雨や洪水などによる企業のリスクについては保険でカバーしてきたが、損害額や頻度の増大等で保険料率が上昇、契約者企業も保険会社も十分に対応できない状況が増えている。そこで、より事業リスクをとれる資本市場につなぐ金融商品としてキャットボンドが開発されてきた。

 

 ただ、キャットボンドの場合、最大の焦点となる「大災害」の程度や頻度、補償範囲等を契約条件として設定する必要がある。地震の場合のマグニチュード等の規模や、保証対象地域の範囲の特定などであり、それらを踏まえて投資家向けの利率等も設定される。これらの商品設計には、詳細なデータと高度の専門知識を必要とする。

 

 このため、三井住友海上は、同社が発行体企業に代わってキャットボンドを発行し、発行体との間でデリバティブ取引を行なうことによって、個別の条件ごとに調整する仕組みを組み込んだサービスを提供することとした。各企業のリスク度合いに応じてオーダーメードの形でボンドを発行することになる。すでにいくつかの企業との間で具体的な交渉を進めているという。

 

 キャットボンドは投資家にとっても、低金利環境が世界的に広がる中でも、通常よりも高い利率を確保できることから、機関投資家、ヘッジファンド等の間で人気がある。最近は日本の年金基金等の投資も増えているという。

 

 一般企業発行のキャットボンドは1999年に東京ディズニーランドを抱えるオリエンタルランドが、ディズニーシーの開業に合わせて発行したのが世界で最初とされる。東日本大震災でもJA共済連が3億㌦のボンドを発行、地震による保険金支払いの補償原資を確保できた事例がある。

http://www.ms-ins.com/news/fy2016/pdf/0708_1.pdf