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損害保険ジャパン日本興亜、電力自由化対応型の「環境金融商品」として、新規参入の発電事業者や小売り事業者向けに「電力安定供給費用保険」開発・販売へ(RIEF)

2016-08-14 00:40:49

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 損害保険ジャパン日本興亜は電力自由化で市場参入した新規の発電事業者・小売電気事業者向けに、電力需給の過不足と、電力市場からの調達費用を補償する保険の販売を始めた。

 

 新規参入した発電事業者は、自社の発電所が被災したり、太陽光や風力などのように、自然条件の変化によって計画通りの発電が出来なかった場合、不足分を他の発電事業者から調達する義務を課せられている。

 

 これらの調達費用は自前の発電コストに比べ、市場価格が適用されるためコストアップになるほか、発生の頻度が不明なことから、新規発電事業者にとって費用確定が困難な負担となる。また余剰分についても市場で販売する際、市場価格によっては安値で売却しなければならないケースも想定される。

 

 まだある。電力の小売全面自由化により、発電事業者や小売電気事業者は、30分単位で事前に定めた計画値に基づいて電気を供給する義務を負い、計画と実績の間で乖離が生じた場合はその差分をインバランス料金として、既存の電力会社などの送配電事業者に支払わねばならない。インバランス料金は発電コストの3倍になる場合もあり、事業者の経営リスクにつながる。

 

 こうした高額なインバランス料金自体は、電力市場への市場参入障壁ともいえる制度で、自由化の趣旨を損なうものと言わざるを得ない。

 

 しかし、そうした制度論議とは別に、損保ジャパン日本興亜はそれらの追加費用を保険でカバーすることで、不確実な価格変動リスクを抑制できる新たな「環境金融ビジネス」の市場を拓くことになる。

 

 新商品は「電力安定供給費用保険」。新規発電事業者・小売電気事業者を対象に、これらの電力の調達費用、調達にかかる追加発生費用、インバランス料金等を包括的に補償することで、制度の不備を補填する役割が期待される。

 

 電力安定供給費用保険の商品プランは3種類。まず、「Aプラン 調達費用(エコノミー)プラン」は電気的・機械的事故による調達費を補償する。次の「Bプラン 調達費用(オールリスク)プラン」は天災の被災や事故などすべてのリスクによる調達費もカバーする。

 

 「Cプラン 調達費用+インバランスプラン」は計画ミスや突発的な事由により発生したインバランス料金も補償対象とする。

 

 同社は保険の損失カバー力によって、電力安定供給の環境整備を後押ししたいとしている。また、電力自由化が進んでいる欧州で先行的に活躍しているグループ会社のSOMPOキャノピアスと連携し、今後の電力自由化の動向や事業者のニーズに合わせて追加の商品開発を進める方針。

 

http://www.sjnk.co.jp/~/media/SJNK/files/news/2016/20160808_1.pdf