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三井住友海上保険 気象変動に対応する「天候デリバティブ」を、NASAと共同開発(各紙)

2016-12-08 00:55:44

NASAキャプチャ

 

  各紙の報道によると、三井住友海上火災保険は近く米航空宇宙局(NASA)と提携し、干ばつなど気象変動に応じて資金を支払う「天候デリバティブ」を世界で販売する。

 

 天候デリバティブは、気温や降雨量などあらかじめ決めた条件に応じて一定額を支払う保険契約をいう。農家や電力会社、イベントなど、降雨量や日照量によって収益が左右される事業者が保険として使うケースが多い。

 

 台風の襲来で工場が稼働できなくなったり、冷夏で売り上げが落ちるなど、気候・天候の変動で、企業収益が左右されやすい業種を対処とする。こうした天候の変化による損失は、従来の火災保険や地震保険では補いきれないことから、新たに自然災害への備えとして、国内の利用が最近、拡大している。

 

 日本国内だけではない。東南アジアなど新興国でも、天候リスクを保険でヘッジできれば、事業のリスクが低くなる。アジア諸国のカントリーリスクを軽減できれば、日本企業などによる進出がさらに活発になる効果が見込めそうだ。

 

 先進国では気象データは充実しているが、新興国や途上国では正確なオプション料の算定が難しい、などの課題がある。そこで三井住友海上はNASAなどと連携することで、人工衛星が観測した地表の温度や洪水の被害状況などの詳細なデータを手に入れることにした。

 

 また米国で買収した気象変動の保険子会社MSI Guaranteed Weatherの気候関連ノウハウも使うことで、天候デリバティブの商品化が可能になった。MSI社は英「Environmental Finance」誌主催の環境金融大賞の天候デリバティブ部門で「アジア最優秀ディーラー」を過去4回受賞している。

 

 新興国や途上国で天候デリバティブが普及すると、工場の立地や耕作地の採算見通しが改善し、企業活動や農業生産性が高まる期待が出てくる。

 

 三井住友海上はこうした天候デリバティブを、まず海外に進出している日本企業向けに販売する計画だ。特にアジアや南米など新興国での需要を見込む。その後は、現地の企業にも対象を広げる考えだ。さらに、天候デリバティブの販売を通じて、他の保険商品の販売も増やしたいとしている。

http://www.ms-ins.com/