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昨年2016年の世界の自然災害、2012年以来の被害規模に。1750億㌦(約20兆円)。最大被害は日本の熊本地震。独ミュンヘン再保険が公表(RIEF)

2017-01-09 18:12:31

floodキャプチャ

 

  昨年2016年は、地震や台風・洪水等の自然災害による被害が2012年以来、最高額の1750億㌦(約20兆円)だった。ドイツの再保険大手、ミュンヘン再保険(Munich Re)が公表した。最も被害額が大きかったのは、4月に起きた日本の熊本地震で、310億㌦(約3兆6270億円)だった。

 

 ミュンヘン再保険によると、対象となった自然災害は地震、台風、洪水、干ばつ、熱波など750件。過去10年平均の590件を上回った。被害総額のうち、保険でカバーされたのは約30%の500億㌦分。最大の被害となった熊本地震の場合、保険でのカバーは20%を切り、60億㌦分だった。

 

 2番目に被害額が多かったのは、6~7月に発生した中国の洪水。200億㌦の被害額で、保険カバーは1.5%分の3億㌦分だけ。先進国に比べて、新興国・途上国での保険カバー率の低さを象徴する事例だった。

 

 次いで10月に北米を襲ったハリケーン・マシューによる暴風雨・洪水被害の102億㌦。マシュー被害の場合は、保険カバー率が4割近い38億㌦だった。

 

 全体の被害額は増大したが、災害による死者数は、全体で8700人で、前年の2万5400人から大きく減った。10年平均の死者数は6万600人で、最も少なかった2014年(8050人)に次ぐ死者数の少ない年だった。

 

 災害別で目立ったのは、洪水の「異常」な増加だという。 河川の堤防決壊や、鉄砲水などの急激な増水による洪水被害は、全体の損失額の34%を占めた。過去10年平均では21%だったので、昨年はそれを10ポイント以上も上回った。

 

 温暖化による気候変動の激化で、台風や豪雨などが増えたことが影響したとみられる。(上の写真は、10月のハリケーン・マシューの来襲で、洪水に見舞われた米フロリダ州のジャクソンビルの街並み)

 

 洪水損害額は60億㌦で、うちほぼ半分は保険でカバーされた。特に5月、6月にドイツやフランスなどで広範囲に暴風雨と洪水被害が起きた。ただ、欧州での発生分は保険の普及でかなりの部分がカバーされた。

 

 ミュンヘン再保険のボードメンバーの一人、Torsten Jeworrek氏は「1年だけの損失では、傾向をとらえることは難しい。ただ、新興国や途上国で非保険被害が増えていることは明らかだ」と指摘している。

 

https://www.munichre.com/en/media-relations/publications/press-releases/2017/2017-01-04-press-release/index.html