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昨年の自然災害、4年ぶりに増加。日本の熊本地震が最大の被害額。温暖化の影響による災害増も。スイス再保険が推計(RIEF)

2017-03-28 23:32:17

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  再保険大手のスイス再保険は、世界全体の自然災害による昨年の経済的被害額が、これまでの低下傾向から一転、4年ぶりで前年比86%増の1750億㌦(約19兆2500億円)と急増した、と発表した。もっとも大きな被害額は日本の熊本地震で250億~300億㌦だった。被害のうち保険が付与された損失カバー額も4年ぶりに多い540億㌦だった。

 

 自然災害被害額は日本の東日本大震災が発生した2011年が過去最高の4200億㌦(約46兆2000億円)前後となったが、その翌年の12年以降、4年連続低下が続いていた。日本の被害額の増減が、全体の傾向に大きな影響を与えていることがわかる。熊本地震の被害額は日本の警察庁などの調べでは、最大4兆6000億円と推計している。

 

  昨年世界全体で発生した地震、暴風雨、洪水、森林火災などの災害は327件で、このうち191件が自然災害で、残りの136件は人為による被害ということになる。特にアジア地域での発生件数は128件で、経済的損失も600億㌦と集中して起きている。

 

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 災害のうち保険カバー(保険会社側の損失)で損失分を補填された540億㌦も、前年比42%増と急増した。ただ、災害による死者数は約1万1000人で、前年の2万6000人より半減した。

 

 2016年の被害額は、過去10年平均とほぼ同レベルだった。保険加入率は先進国ほど高く、北米は2016年の経済的損失のうち半分以上を保険でカバーできたという。4月にテキサス州を襲った雹被害の場合、被害額35億㌦のうち86%が保険でカバーされた。グローバルな平均保険カバー率は約30%だった。

 

 災害タイプでは地震が日本、エクアドル、タンザニア、イタリア、ニュージーランドなどで発生した。カナダのアルバータ州とサスカチェワン州で起きた森林火災はカナダ最大の保険損害となったほか、グローバルな森林火災としても過去二番目の被害額だった。洪水は米国、欧州、アジアの各地で頻発した。北米では700人以上の犠牲者を出したハリケーン・マシューに襲われた。

 

 地震を除き、洪水や暴風雨、それに森林火災や干害などは、温暖化の進行による気候変動が影響しているとみられ、災害イベント一件当たりの被害額の増加傾向がみられるという。

 

 スイス再保険は昨年12月中旬に公表した推計の段階では経済的被害が1580億㌦、保険損失額490億㌦とみなしていたが、経済被害額で170億㌦、保険損失額で50億㌦上方修正した。

 

 スイス再保険と並ぶ再保険大手のミュンヘン再保険は、今年1月、自然災害による保険損失額を約500億㌦と算定している。

 

http://www.swissre.com/media/news_releases/nr20170328_sigma_2_2017.html