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第一生命保険 ベンチャー企業向けに運用収益と社会的インパクトの創出を両立させる「インパクト投資」開始。2社に14億円投資(RIEF)

2017-10-26 00:30:10

daiichiキャプチャ

 

  第一生命保険は、資金供給を通じた社会課題の解決のコミットメントを強化するため、運用収益の獲得と社会的インパクトの創出の両立を目指した「インパクト投資」として、東南アジアでのマイクロファイナンス事業を展開するベンチャー企業に4億円、新世代バイオ素材開発ベンチャー企業に10億円、をそれぞれ投資した、と公表した。

 

  第一生命ではインパクト投資を、運用収益の獲得と社会的インパクトの創出(社会の構造変化等)の両立を意図して投資判断を行う投資手法として、ESG投資の一つに位置付けている。今回、第一号として投資したマイクロファイナンス事業の展開企業は国内ベンチャー企業の五常・アンド・カンパニー(東京・渋谷)。 

 

 五常は 2014 年の創業。現在はカンボジア、スリランカ、ミャンマーの 3 カ国にある現地子会社を通じてマイクロファイナンス事業を展開しているという。途上国の低所得者層に金融アクセスを提供することで、途上国の人々の経済的自立と生活水準向上に寄与できる。五常は今回の資金調達後に、進出国の拡大や既存事業への追加投資を行い、事業成長を加速させるとしている。

 

 また第一生命はカンボジア、ミャンマーに駐在員事務所を設立し、将来の生命保険事業展開に向けた調査・検討を進めている。こうした事業戦略面で五常の現地ネットワークを活用することも検討しているという。

 

 第二号案件の新世代バイオ素材開発ベンチャーは、 Spiber(スパイバー)社(山形・鶴岡市)。同社は、新世代タンパク質素材の研究・生産を行い、商業利用を目指す慶應義塾大学発のベンチャー企業で、世界で初めて人工合成クモ糸繊維の量産化に必要な技術の開発に成功している。



 同社は、新世代タンパク質素材を開発し普及させることで、様々な環境問題の解決も目指している。現在、使用されている多くの繊維製品には化石燃料を原料として製造された素材が使用されており、その製造工程で膨大なエネルギーが消費されているほか、温室効果ガスも排出されている。これを開発中の新世代タンパク質素材で代替することで、化石燃料の消費や温室効果ガスの排出の削減などに貢献するという。

 

 第一生命では、同社の技術開発は投資を通じて高い投資収益を期待できるとともに、環境負荷の軽減(社会的インパクト)ももたらすとして、資金面からサポートすることにした、としている。 

 

 今後もこれら2社と同様に、高い成長を見込めるベンチャー企業の発掘・投資に取り組むことで運用収益力の向上を図るとともに、インパクト投資などの ESG 投資に引き続き積極的に取り組むことで、機関投資家としての社会的責任を果たしていく、と説明している。 



 Spiber 社の取締役兼代表執行役の関山 和秀氏は「地球温暖化をはじめとした環境変動や土地の劣化が現在のペースで進行し続ければ、食糧問題や難民問題はより深刻化し、戦争・紛争・テロのリスクが高まっていくことは明らか。 ESG 投資は人類にとって真に尊い平和を維持、広げるための投資と言い換えることができる」と述べている。

 

 五常の代表取締役社長 慎 泰俊氏は「民間セクターの世界銀行となり、全ての人々に質の高い金融サービスを提供するために会社を創業した。そうした当社の資金調達で、第一生命がリード投資家となることには極めて大きな意義がある」と評価している。

http://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2017_043.pdf

http://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2017_044.pdf