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日本生命など生保10社が、投資先企業約100社向けに、収益向上、ESG評価等を直接問いただす「集団エンゲージメント」活動を来月にも実施へ。(各紙)

2018-03-01 11:26:59

seihoキャプチャ

 

 各紙の報道によると、日本生命保険や第一生命保険など生保10社は、投資先企業に対して共同対話を求める「集団的エンゲージメント」を3月中にも約100社に対して実施する。企業の経営状況やESG対応等について、直接、投資家の視点で改善を求める。

 

 日本経済新聞が報じた。金融庁は昨年5月に改定した機関投資家向けの行動指針の中で、投資家の共同対話の有効性を指摘しており、欧米でも企業の経営に直接働きかける機関投資家の対話行動が広がっている。こうした内外の要請・動きを受けて、生保各社は個社の枠を超えた共同行動で足並みをそろえることにした。

 

 来月中にも投資先企業に対して連名で書簡を送付し、そのうえで、ガバナンスや情報開示などに関して問題がある対象企業については直接の対話を行って、改善を促す。共同行動先の企業は、株主還元率などが一定水準を下回る一部上場企業約100社を対象とする。

 

 送付先は現時点では明らかにされていない。報道では、小売業や機械、サービス業などのほか、地方銀行も入っている、としている。

 

 書簡を受けた企業側が課題についての改善に向かえばその結果を見守ることになるが、改善が進まない企業に対して、追加の共同行動をとるかは不明。欧米では、株主総会での共同行動、あるいは投資引き揚げなどの判断もとられている。最初の書簡による共同行動については、4月下旬にも報告書をまとめて公表する予定という。

 

 参加する保険会社は、日本生命、第一生命、明治安田生命保険、住友生命保険、かんぽ生命保険、太陽生命保険、大同生命保険、富国生命保険、朝日生命保険、三井生命保険の10社。合計の株式保有額は約24兆円に達する。

 

 機関投資家による共同対話などの「集団的エンゲージメント」活動は、国内では2017年度に企業年金連合会が三菱UFJ信託銀行など大手金融4社と連携し、初の共同対話を実施している。生保各社の活動はこれに次ぐことになる。海外では英国の機関投資家が2014年に始めたのをきっかけとして、現在は、欧米で取り組みが広がっている。また国連支持の責任投資原則(PRI)も機関投資家の共同行動を推奨している。