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地震対策のCATボンド、JR東日本等には適用されない見通し(FGW)

2011-03-28 18:17:31

保険でも引き受けられない大規模災害を資本市場で担保するCATボンド(Catastrophie Bond)は、日本でもJR東日本などの営業リスクを対象として発行されているが、今回の地震ではほとんど適用されない見通しという。

地震保険は、国と損害保険会社が、個人の火災保険に付加する形で提供されており、今回の支払い総額は1兆円規模になると見込まれている。これに対して、大規模自然災害で営業活動に支障をきたす企業向けの保険は、損害規模が大きくなることから保険会社でも引き受けきれない場合が多い。そこで、保険・再保険の仕組みとは別に、特定の企業リスクを対象としたCATボンドを発行、資本市場で引き受ける仕組みがとられている。

今回の地震発生時点で、JR東日本などを含め17億㌦(約1380億円)分の日本企業関連のCATボンドが発行されていた。だが、例えばJR東日本の場合、2億6000万㌦(約200億円)のボンドの対象となっているが、支払いが義務付けられるトリガー地域は、東京駅からの一定距離(半径70㎞)とマグニチュードなどで定められている。今回は東京駅から380㎞離れているため、対象にはならない。保険専門家は、支払いの対象となるのは、全体の10%未満(1.7億㌦前後)とみている。

日本で最初にCATボンドによる地震リスクへの備えを実施したのは、ディズニーランドを経営するオリエンタルランド。東京ディズニーシーの開業に先立つ1999年に、1億㌦、満期5年のボンドを発行した。ディズニーランドは今回の地震で休業中だが、CATボンドをその後も発行し続けていたかどうかは不明。