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日本生命、石炭火力発電事業向け新規融資停止を検討。ESG投資の目標額も現行より3.5倍多い7000億円に増額修正(RIEF)

2018-04-27 17:30:51

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  日本生命保険は2018年度の運用計画の中で、温暖化対策に資するため、新規の石炭火力発電事業への融資停止を検討していることを明らかにした。石炭火力への融資停止を明確にすれば、日本の大手金融機関では初めてとなる。またESG投資についても、2020年度までの目標額をこれまでより3.5倍引き上げて7000億円に設定した。

 

 26日に2018年度の運用方針に関する説明会を開催、秋山直紀財務企画部長がこれらの方針を明らかにした。石炭火力向け融資の停止について具体的な実施日等は現時点では明確にしていない。しかし、欧米の主要機関投資家には、新規融資の停止だけでなく、既存の融資の見直しや、化石燃料関連投資資金の引き揚げ(Dievstment)を実施する動きが広がっている中で、日本の民間最大手の機関投資家として検討に乗り出したとみられる。

 

 石炭火力発電は今後、温暖化が加速すると、途中で稼動の継続が難しくなるケースも想定される。そうなると、長期の投融資資金を投入すると資金の出し手にとっても、投融資リスクが高まることになる。日生は、融資停止を検討するのは新規の事業融資とし、既存の融資分や関連企業の株売却などは、現時点では考えていない、としている。

 

 温暖化に伴うリスク対応の一方で、環境、社会、ガバナンスのESG要因の優れた企業等が発行するグリーンボンドや、ソーシャルボンド等のESG関連投資については積極的に投資を進める。

 

 日生はこれまで2017年度から2020年度までの4年間の中期経営計画で、環境や社会課題などに配慮した企業に投資するESG投資に2000億円を充当する計画を立てていた。ところが、中期計画初年度の17年度の1年間だけで、約2022億円の投資実績を達成した。

 

 このための中期計画の目標を全面見直しし、目標額を3.5倍引き上げ、当初より5000億円多い7000億円に設定した。超低金利の長期化で、生保の運用環境は厳しい状況が続いているが、ESG債投資は成長・新領域分野への投資とともに、一段と強化していく方針だ。成長・新規領域への投資額も当初の1.5兆円から2兆円に増やす。

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