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日本生命、内外市場での新規石炭火力発電事業への融資を全面停止を決定へ。日本の金融機関で初の「脱石炭宣言」。環境NGOは歓迎とともに、投資の引き揚げ(Divestment)も要請(各紙)

2018-07-14 21:12:58

nisseiキャプチャ

 各紙の報道によると、石炭火力発電への融資の停止を検討していた日本生命保険はこのほど、正式に国内外の新規の石炭火力発電事業への投融資を中止することを決めた。日本の金融機関で石炭火力発電への融資を正式に停止したのは初めて。環境NGOは一斉に同社の決断を歓迎する声明を発表している。

 

 日生では今年4月の時点で2018年度の運用計画を明らかにし、その中で、温暖化対策に資するため、新規の石炭火力発電事業への融資停止を検討していることを明らかにしていた。融資停止の対象は国内外問わず新規の事業で、既存の事業への融資については対象外とする。http://rief-jp.org/ct2/78973

 

 石炭火力への融資停止はライバルの第一生命が、海外の事業に絞って新規融資の停止を打ち出している。今回、日生は内外を問わず、温暖化加速につながる新規の石炭火力事業を融資の対象外とする。現在国内では電力事業の自由化に伴って、40以上の新規の石炭火力発電所計画が打ち出されている。日生はこれらの新規事業への融資団に入らないことになる。http://rief-jp.org/ct2/79267

 

 欧米の金融機関は特に保険各社を中心にして、融資、投資対象、さらに保険会社(損害保険)の場合は、保険引き受けの停止などの形で、化石燃料関連企業向けのファイナンスを縮小している。日本の金融機関の対応は遅れ気味だが、今回の生保最大手の日生の対応で、「石炭火力」は金融にとってタブーではないことが示されたともいえる。

 

 グリーンピースや気候ネットワーク(KIKO)、350.org Japanなどの環境NGOは、共同で日生の決断を支持する声明を出した。「国内の案件も含めて融資しないことを決定した金融機関は日本初であり、先進的な取り組みとして歓迎の意を表したい」。http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2018/pr20180713/

 

 加えて環境NGOらは、「欧州の大手生命保険会社のアクサやアリアンツは、石炭火力事業の大規模な増設に関与している企業からの株式投資・融資の撤退を進めている。日生も、今後、石炭関連企業からの株式投資・融資の撤退を期待したい」と指摘、融資だけでなく、投資資金の引き揚げによる「フル・ダイベストメント」への展開を求めている。

 

 日生の動きに、他の生保、あるいは銀行、証券、年金等のどこが追随するか、注目される。