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主要生保・損保8社の環境・社会性投融資方針のスコアリング評価。1位はMS&MD、以下も損保各社。全体的に低水準の評価。「フェアファイナンス・ガイド・ジャパン」が格付(RIEF)

2018-07-31 10:15:48

Fairfinance2キャプチャ

 

 「フェアファイナンス・ガイド・ジャパン」は日本の主要保険各社を対象として、投融資先活動を環境・社会性で評価・格付する試みを実施した。その結果、対象とした損保、生保合計8社中、損保のMS&ADインシュアランスグループが最も高い点数(2.4)を得、次いでSOMPOホールディングス、東京海上ホールディングスと続き、損害保険各社の評価が高く出た。

 

 「フェアファイナンス・ガイド」はオランダのNGOが開発した手法で、日本では複数の環境NGOがその手法を日本の金融機関に適用して点数付けをしている。これまでは銀行を対象としてきたが、今回、保険各社に初めて対象を絞った。

 

 対象となったのは、損保3社のほか、生保では日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命、かんぽ生命の5社。これらの各社の投融資活動について、「気候変動」「汚職」「ジェンダー」「健康」「人権」「労働」「自然環境」「税」「兵器産業」等の16分野で、投融資方針が明確化されているかどうかを評価し、総合スコアを算出した。

 

Fairfinance1キャプチャ

 

 その結果、総合評価(10点満点)では、MS&ADが唯一、2点台(2.4)のスコアを得てトップとなった。次のSOMPOは1.3、3位の東京海上は0.9だった。生保では、日本生命と第一生命が同率の0.8で並び、次いで明治安田0.6、住友生命とかんぽ生命が0.5と最も低かった。

 

 損保生保の環境・社会対応の違いはある程度でたものの、全体的に低スコア。一般的に、10点満点での合格点は、最低でも6点が必要といえる。そう考えると、日本の生損保は、いずれも”落第”とみなされても仕方がない。「フェアファイナンス」が昨年12月に公表した銀行への評価では、三井住友トラストホールディングスが3.1点でトップとなっている。

 

 ただ、同手法による評価は、環境報告書やCSR報告書等において、環境・社会性に関する投融資方針が明確化されているかどうかを評価するもので、実際の投融資において、そうした配慮がなされていないことを評価するものでもない。

 

 国連のグローバルコンパクトや、責任投資原則(PRI)、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)報告、OECD多国籍企業行動指針等に署名・支援声明をするところは増えてきた。だが、単に署名や声明だけして、自社の投融資方針の中に落とし込んで位置付ける作業を怠ると、今回のような評価を突き付けられても文句を言えないことになる。

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