HOME8.温暖化・気候変動 |2018年の世界の自然災害損失2250億㌦(約25兆円)。前年より半減も3年連続で2000億㌦台。日本の台風21号と西日本豪雨が被害額で4、5番。温暖化で想定外の災害増加(RIEF) |

2018年の世界の自然災害損失2250億㌦(約25兆円)。前年より半減も3年連続で2000億㌦台。日本の台風21号と西日本豪雨が被害額で4、5番。温暖化で想定外の災害増加(RIEF)

2019-02-15 22:03:16

Aon3キャプチャ

  米保険会社エーオン(Aon)は、2018年に発生した主要な自然災害394件による世界の経済損失が2250億㌦(約25兆円)だったと公表した。損失額は米国に大型ハリケーンが相次いだ前年(2017年=4500億㌦)に比べると半減したが、3年連続で2000億㌦台だった。被害額が大きかった上位10位の災害のうち、4番目と5番目に日本の9月の台風21号被害と、7月の西日本豪雨が入った。

 (上記の図表は2018年に発生した経済的損失の大きかった自然災害マップ)

 

 エーオンが2018年年次報告の中で公表した。経済損失総額のうち2150億ドルは台風や洪水、干ばつなどの気象変動の影響で加速化された災害だったという。経済損失のうち保険でカバーされたのは全体の4割の900億㌦分。このうち95%が気候変動関連の自然災害だった。

 

 経済損失額は2000年以降で8番目の水準だが、保険損失額(カバー額)としては4番目だった。この点は自然災害増で保険契約が増えた面と、災害の増加で保険損失が増えた面の両面の要因が考えられる。

 

Aon1キャプチャ

 

 2018年の災害の特徴は、熱帯性暴風雨(台風、ハリケーン、サイクロン等)が最大の被害をもたらし、各地に上陸、被害を拡大した。もっとも多くの損失を出したのは、10月に米国に上陸したハリケーン・マイケルで、死亡者32人、経済損失額は170億㌦(1兆8700億円)だった。

 

 上位3位までは米国のハリケーン被害で、4位の日本の台風21号は死者17人、被害額130億㌦、5位の西日本豪雨は死者246人、100億㌦。西日本豪雨は死者数でもっとも多かった。

 

 災害の種類でも保険カバー率に違いがある。日本の台風21号の被害の65%は保険でカバーされたが、西日本豪雨は27%しかカバーされず、全体平均の40%を下回った。また6番目の損失額だった春から夏にかけて北欧・中欧で発生した干害被害のカバー率は3.3%だけだった。

 

 保険普及率の高い欧州での低カバー率は、従来はあまり発生しなかった「欧州での干害」への備えが不足していたことを示す。日本の西日本洪水も、河川の氾濫が想定外だったといえる。温暖化による気候変動の激化は、これらの従来では考えられなかった災害が激化する示す事例といえる。

 

Aon2キャプチャ

 

 エーオンの再保険ソリューションビジネスCEOのAndy Marcell氏は「2018年は、世界の自然災害の発生が活発な年の一つだった。一つの巨大災害が起きたわけではないが、自然災害全体では420億㌦の損失をもたらし、平年を上回った」と指摘している。

 

http://thoughtleadership.aonbenfield.com/Documents/20190122-ab-if-annual-weather-climate-report-2018.pdf