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生命保険協会、「生保各社のESG運用ガイドライン」公表。気候変動問題に取り組む企業への投融資促進、クラスター弾製造企業は原則投融資対象外。「脱石炭」は明記せず(RIEF)

2019-02-19 17:00:03

seiho1キャプチャ

 

  生命保険協会は、生保各社が取り組む「ESG投融資ガイドライン」を公表した。責任投資原則(PRI)や国連の持続可能な開発目標(SDGs)」等を受け、生保の資産運用を通じて持続可能な社会の実現に貢献するESG投資を促進するための基本的な考え方としてまとめた。

 

 ガイドラインの正式名称は「生命保険会社の資産運用におけるESG投融資ガイドライン」。生保各社が自己責任よってESG投融資に対応する際の「参考」との位置づけで、拘束力はない。各社がガイドラインに定めたもの以外で、持続可能な社会実現に資するものがあれば、上乗せ対応を認める内容としている。

 

 ガイドラインは主な取り組み事項として、①環境問題を含む社会的課題の解決への貢献②非人道的兵器根絶の後押し、の2つをあげている。前者については、気候変動問題への解決に資する企業・事業への投融資と、社会インフラ整備に向けた長期資金の供給を例示している。

 

 後者については、非人道的兵器として国際的にも批判されているクラスター弾の製造に係る企業に対しては原則として投融資しない、と明記した。

 

 気候変動対応では、すでに日本生命や第一生命等が新規の石炭火力発電事業向けへの投融資停止を打ち出している。今回の協会ガイドラインは、そうした個社の方針を含めた上で、より一般的な「気候変動問題への解決に資する企業・事業」と、緩やかな取り組みにとどめた。明確に「脱石炭」を示せない中堅・中小生保各社への配慮のようだ。

 

 生保協会はこれまで、長期資金を供給する機関投資家として、教会内に「スチュワードシップ活動ワーキンググループ」と「ESG投融資推進ワーキンググループ」を設立、業界全体での取り組みの促進をしてきた。スチュワードシップWGに基づき、2017年からは「集団的エンゲージメント」として、投融資先企業に対してESG情報の開示の促進や株主還元の充実等を求める共同行動を展開している。

 

https://www.seiho.or.jp/info/news/2018/pdf/20190215_1esg.pdf