HOME8.温暖化・気候変動 |損保ジャパン日本興亜、米ベンチャー企業等と提携し、AIを活用した防災・減災システムを開発。地域単位での精緻な被害シミュレーションが可能に。地域の防災力向上に(RIEF) |

損保ジャパン日本興亜、米ベンチャー企業等と提携し、AIを活用した防災・減災システムを開発。地域単位での精緻な被害シミュレーションが可能に。地域の防災力向上に(RIEF)

2019-03-26 19:17:33

nishinihon1キャプチャ

 

 損害保険ジャパン日本興亜は、米シリコンバレーの防災事業のスタートアップ企業「One Concern, Inc.」やウェザーニューズ社と共同で、AI(人工知能)を活用した防災・減災システムの共同開発で業務提携を結んだ。今月から、熊本市で日本初となるAI技術を使った防災・減災システム開発に向けた実証実験を開始し、同システムの開発を目指す。AIを活用することで、災害の危険性と地域の脆弱性を評価し、動的シミュレーションを 用いた正確な被害予測シミュレーションが可能になるという。

 

  (写真は、昨年夏の西日本豪雨の被害状況)

 

 提携するOne Concern社は、米スタンフォード大学の学生らによるスタートアップ企業。AI技術を災害予測や防災・減災システムに活用するシステムを開発・提供している。すでに米国では、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルなどの各自治体が同社のシステムを導入している。

 

 同社のシステムの特徴は、地域防災に関わる気象や建物などの各種データをAIで分析・活用し、洪水・地震などの災害の発生前・発生時・発生後における正確な被害予測サービスとリアルタイムな被害状況の把握が、各地域のブロック(区画)単位で可能になる点だ。

 

 損保ジャパン日本興亜は、日本のウェザーニューズが提供する日本固有の 過去の気象データや気象予測データをOne ConcernのAIシステムで分析・活用することで、災害の多い日本でも、より高度かつ精緻な災害の被害 シミュレーションを行えるとしている。それらの分析を踏まえて、災害に強い都市づくりの実現を目指す。

 

 SONPO12キャプチャ

 

 同AIシステムを利用することで、ブロック単位での被害予測と被害把握が可能になる。最近の日本で頻発する台風や暴風雨等による土砂崩れや洪水等は、地形や開発状況等の地域特性によって被害や影響の度合いが大きく違うケースが少なくない。One ConcernのAIシステムはそうした地域特性を踏まえたシミュレーションができる。

 

 システムは、①災害発生前②発生時③発生後、の3段階に分かれている。まず、①の災害発生前は、AI技術の活用によって、災害危険性と地域jの脆弱性を評価し、動的シミュレーションによって正確な被害予測シミュレーションを行う。自治体等は、こうしたシミュレーションに基づいて、BCPプランや防災計画の策定・見直しを行うほか、日ごろの自営消防団、地域住民参加の防災訓練に活用する。また災害時用の避難場所や避難方法の点検等を行う。

 

 実際に災害が発生する②の場合は、災害発生直後に提供される被災地域の被害予測サービスによって、リアルタイムで被害状況の把握ができ、地域全体が受ける損害のインパクトを把握できる。自治体等はこれらの情報を元に、被害地域や被害規模をより正確に把握でき、効率的・効果的な初動対応を迅速に講じることが可能になる。被害の極小化が期待できるわけだ。

 

 sonpo21キャプチャ

 

 最後の③の災害発生後は、実際の被害データを被害予測サービスに組み入れることで、地域の実情に合ったリアルタイムでの正確な被害状況を把握できる。自治体等はこれらの情報を元に、災害発生後の地域レジリエンス(復元力)の向上を目指すことになる。

 

 損保ジャパンは、実証実験を実施する熊本市との間で、2018年8月20日に「地域防災力向上のための相互協力に関する協定」を結んでいる。今回の取り組みは同協定に基づいた具体的協力関係となる。

http://www.sjnk.co.jp/~/media/SJNK/files/news/2018/20190325_1.pdf