HOME2. 保険 |生命保険協会、保険の加入・支払いに際して、遺伝子検査情報の収集や利用をしない業界統一指針を取りまとめる方針。「遺伝子差別」を否定(各紙) |

生命保険協会、保険の加入・支払いに際して、遺伝子検査情報の収集や利用をしない業界統一指針を取りまとめる方針。「遺伝子差別」を否定(各紙)

2019-04-08 08:51:36

hoken1キャプチャ

 

  各紙の報道によると、国内生命保険各社で構成する生命保険協会(東京)は、保険の加入や支払いなどの審査の際に、遺伝子検査情報の収集や利用をしないことを明記した指針を策定する。がんの治療や予防目的で検査が増える中、検査結果によって加入や支払いの判断に差をつける「遺伝子差別」が起きることを懸念する指摘を受けて、業界全体の対応を統一し、遺伝子情報を使わないという方針を明確にする。

 

 共同通信が報道した。遺伝性の病気を持つ患者団体等が保険会社への対応を求めていた。

 

 遺伝子検査は、個人の遺伝子を調べて病気の治療や予防に役立てる「ゲノム医療」の中核となる技術とされる。厚生労働省が、がんの治療体制を整備していることなどから、遺伝子情報への関心が高まっている。

 

 保険会社は、これまで保険加入や支払いの審査の際に、遺伝子検査結果や家族の病歴などの遺伝子情報を扱っていない、としてきた。しかし、2017年の厚労省研究班によると、1万1000人の一般の人を対象とした調査では、300人以上が遺伝子情報を理由に生命保険のほか、医療、学資保険等への加入を拒否されるなどの経験をしたと答えている。

 

 また一部の保険会社の契約書類には、遺伝子情報を使用しているのでは、と思われかねない記載があったことも判明している。さらに、遺伝子情報についての明確な社内規定を定めていない保険会社もあったという。

 

 こうした事態を受けて、生保協会では業界共通の指針が必要と判断。「遺伝子検査結果の収集や利用はしておらず、今後も継続することが各社の共通認識」との方針を明示することを決めた。

 

 また契約者が自発的に検査結果を伝えた場合についても、その情報を利用しないほか、医療現場以外の場所で使われる、体質や病気のなり易さなどを調べる民間の遺伝子検査ビジネスの結果についても使用しないこととする。

 

 ただ、医師による遺伝カウンセリングを保険加入申し込みの3カ月以内に受けた場合は、診療歴に当たるため告知を求める。また、今回の指針策定に際して、広く一般の意見を徴求する手順をとり、保険契約者だけでなく、一般市民の了解を得る方針という。

 

 遺伝差別に詳しい武藤香織東大教授(医療社会学)は「生命保険の業界団体が遺伝子検査に関する見解を明確にしたことは評価できる。これまで保険での扱いがはっきりせず、加入を考える人が検査を控えることがあったかもしれない。結果の不使用が明確になれば、検査を受けようかと迷っている人の意思決定に影響を与えるだろう。遺伝子情報の取り扱いでは、差別禁止とともに、検査を他人から強要されず自分で受けるかどうかを決めることが前提となる。こうしたことを明示した法整備も必要だ」と述べている。

 

https://www.47news.jp/national/3443505.html

https://www.seiho.or.jp/