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台風15号の被害額(保険損失額)、3400億円~7400億円規模に。米リスクモデル会社が推計。過去最高額になる可能性も(RIEF)

2019-09-17 09:34:15

AIR2キャプチャ

 

 首都圏を襲った台風15号の影響は、千葉県での広域停電等を長期化させているが、台風被害額(保険損失額)は3400億円~7400億円に達する、との推計が出た。米国のカタストロフィー・リスクモデル会社が試算した。過去の被害では1991年9月に日本列島を縦断した台風19号の5679億円が最高額とされるが、今後の被害額の広がり次第では、それを上回る可能性もある。

 

 推計したのは米AIR Worldwide社。カタストロフィーボンド等のモデル推計の専門会社。推計額はドルベースで30億㌦~70億㌦。同社の評価によると、15号(米名、Faxai)は風速で過去最大だった2002年の21号を上回り、勢力でも昨年の21号に匹敵する威力となった。

 

 AIRは保険損失額の推計に際して、不動産損害(住宅、商業、産業(工場等)、農業/共済)の建物・家財と、強風・水害の影響を受けた自動車保険の損失推計を合計した。ただ、洪水被害額や土砂崩れ、インフラ被害、土地被害、海運関連ビジネス等は含めていない。

 

 対象地域は、台風被害の大きかった千葉、神奈川、静岡、東京、茨城を中心に分析した。住宅地では千葉を中心に90万世帯以上が停電となったことや、収穫前の稲作、果樹等の農業被害が大きかったことが保険損失増大につながるとみている。

 

 ただ、停電や交通機関の混乱に伴うビジネス活動の停滞コスト、損害対応の支出、逆に復旧事業のための資材高騰、雇用増加等も含まれていない。こうした非保険カバーの経済活動コストは、保険損失額を大きく上回るとみられる。

 

 保険損失額は保険会社が保険加入者にとっては保険金支払い額となる。保険会社の損失額は再保険でカバーされている。AIRなどのカタストロフィー・リスク会社は、温暖化の加速で自然災害が多発し、再保険ではカバーしきれない保険リスクが高まる地域向けに、カタストロフィーボンド(Cat Bond)発行のためのリスクモデルサービスを提供している。

 

https://www.air-worldwide.com/Press-Releases/AIR-Worldwide-Estimates-Insured-Losses-for-Typhoon-Faxai-Will-be-Between-USD-3-Billion-and-USD-7-Billion/