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台風15号による損害保険支払額、最大1兆円の可能性も。米保険モデル会社が新たに試算。5400億円~9700億円。東京オリンピックでの建設労働コスト上昇も反映(RIEF)

2019-09-30 21:10:01

taifu15キャプチャ

 

  台風15号による保険金支払額がさらに増大する見通しとなった。先に米企業が30億㌦~70億㌦(約3400億円~7400億円)と推計していたが、別の推計では50億㌦~90億㌦(5400億円~9700億円)と3割~5割増の推計を公表した。最大で1兆円規模になり、台風被害としては過去最高額になるのは確実だ。

 

 (写真は、千葉の台風被害地域、ブルーシートが痛々しい)

 

 新たに保険金支払額を推計したのは、米カタストロフィー・リスクモデル会社のRMS。9月半ばに米AIR Worldwide社が推計した額でも、1991年9月に日本列島を縦断した台風19号の5679億円を上回るとみられていた。http://rief-jp.org/ct2/93944

 

 RMSの推計には、暴風雨による建物・不動産の損壊のほか、沿岸部での浸水被害、事業・営業活動の中断損害、自動車等の損害を対象とし、損害保険に加えて共済の被害も合算した。

 

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 さらに、台風被害後の損害(post-event loss amplification)として、被害修復のための労働コストや素材費用が東京オリンピック・パラリンピックの影響で増大していることや、東京電力の停電長期化による事業中断コスト増、自動車車両の被害増などを加算した。

 

 RMSのシニアマネジャーのMargaret Joseph氏は「台風15号は、2004年に本州・伊豆半島地方を襲った台風22号以来の関東地方直撃型としては最強の台風だった」と評価。日本損害保険協会の発表(9月13日)では、保険金支払い請求件数は18万4548件に上っている。

 

  温暖化による台風被害の増大で、保険会社の支払額の増大が続くと、保険金増大につながる。そうなると、企業、個人の保険カバーコストが上昇、被害救済が困難になる可能性が高まる。

 

 日本の損保各社のうちMS&ADは自社の保険金支払額を約1000億円(約93億㌦)、損保ジャパン日本興亜が約1100億円(約10億㌦)と推計している。

 

https://www.rms.com/newsroom/press-releases/press-detail/2019-09-26/rms-estimates-insured-losses-from-typhoon-faxai-to-be-between-usd-5-billion-and-9-billion