HOME |損保大手3社。温暖化で激化した台風の影響で、今年度の保険金支払い総額1兆円突破確実に。2年連続の1兆円台。災害準備金も半減。政府の「手抜き」温暖化対策が国民と経済を疲弊させている(RIEF) |

損保大手3社。温暖化で激化した台風の影響で、今年度の保険金支払い総額1兆円突破確実に。2年連続の1兆円台。災害準備金も半減。政府の「手抜き」温暖化対策が国民と経済を疲弊させている(RIEF)

2019-11-22 15:22:10

taifu1キャプチャ

  温暖化の影響で激しさが増した台風15号と台風19号の影響による保険金の支払い額が、大手損害保険会社3社合計で1兆円規模に達する見込みとなった。3社の9月期決算で合計約8700億円の支払い見込み額が計上された。今後追加の請求が出る見通しのほか他の災害を含めると、2年連続の1兆円台に乗せるのは確実になった。各社の災害準備金の取り崩しも進んでいる。

 2つの台風による保険金の支払い見込み額は、MS&ADインシュアランスホールディングスが最も多く3650億円、SOMPOホールディングスが2720億円、東京海上ホールディングス2318億円、合計8688億円だった。


 今後、まだ追加の請求が出る可能性があるほか、8月には九州で豪雨被害があり、さらに冬に入って毎年発生する雪の被害分等を含めると、今年度の3社の保険金の支払い総額は1兆円台に乗せるのはほぼ確実とみられている。

 過去、最も支払い額が多かった昨年度の約1兆6600億円だったので2年連続の1兆円支払いになる。それまでの支払額で最大だったのは2004年の7449億円。温暖化の影響が保険ビジネスに与える打撃は、明らかに顕在化してきたといえる。

 保険会社は、大規模な保険金の支払いに備えて「異常危険準備金」を計上している。3社合計の準備金額は大体、7000億~8000億円台で推移してきた。ところが過去最高の支払いとなった昨年度には5383億円に下がり、今年度の見通しでは約3850億円にまで減少すると見込んでいる。

 保険各社は、保険金支払額の増大と、準備金の減少という事態に対応するため、保険料の引き上げに踏み切ることになる。すでに昨年の支払い増に対応して、10月にも全国平均で6%から7%の値上げを実施した。さらに2021年1月にも再値上げする見通し。



 火災保険の保険料は将来、災害が起きる確率などを都道府県ごとに計算して決められる。このため、東京、大阪、愛知の大都市圏や、熊本や宮崎などでは値上がりする見通しだが、比較的発生確率の低い静岡や福岡などは値下がりの見通しという。ただ、全国的にみて、今回の台風で、河川の氾濫が各地で相次いだことで、被災地の住民は新たに保険に入る場合、高い保険料を覚悟しなければならないといえる。被害と保険料値上げのダブルパンチを受けることになる。

 洪水や浸水等への対応は、個人での備えには限界がある。温暖化対策を政府、自治体がしっかりやらないと、コミュニティの崩壊を招き、個々人の資力の減少を招く事態になってしまう。政府は河川の堤防強化や土砂崩れ対策、避難所の確保等、従来型の「起きてから対応」型ではなく、「事前に防ぐ対応」型に早急に切り替える必要がある。

 わが国は、地震による被害も相次いでいる。このため、地震保険の保険料も2014年7月、2017年1月、ことし1月と値上げし、21年1月にも値上げされる予定だ。消費税の引き上げに加えて、自然災害リスクへの備えも高額になっていくと、内需の伸びにも影響しそうだ。

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