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公的年金のESG運用、地方公務員年金と私学共済年金、ともに日本株パッシブ運用やグリーンボンド投資等を目指す。「積立金基本指針」改正を受けた対応(各紙)

2020-03-30 14:56:46

ESG44キャプチャ

 

  各紙の報道によると、地方公務員共済組合連合会、日本私立学 校振興・共済事業団は、運用する公的年金の資産運用にESG要因を取り込む運用を開始する。2月に関係省庁が共同で「積立金管理・運用の基本指針」の改定を実施したことを受けた対応だ。運用対象も、株式に限っていたESG投資の取り組みを積立金全体に拡大する。同指針の対象となる公的年金は、他に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、国家公務員共済年金連合会もあるが、GPIFはすでにESG運用を展開しており、残る国家公務員共済年金も同様の対応をとるとみられる。

 

 日本経済新聞が報道した。積立金基本指針(積立金の管理及び運用が長期的な観点から安全かつ効率的に行われるようにするための基 本的な指針)は4省(総務、財務、文部科学、厚生労働の各省)共同の告示。2月末に改正された。従来の方針では運用に際して「ESG投資を検討」となっていた規定を、「検討した上で必要な取り組みを行うこと」に改めた。

 

 新基本指針では、ESG投資の取組みの対象を「株式」から「積立金」全体に変更。また、長期的な観点から行う積立金運用 について、投 資先及び市場全体の持続的成長が長期的な収益の拡大に必要であるというESG投資の背景となる考え方や、ESG投資が被保険者の利益のために長期的な収益を確保する観点から行われることを基本指針に明確化した。こうした方針を受けて、対象となる各管理運用主体が個別にESG投資推進の取組みを行うことになっている。

 

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 日本経済新聞によると、地方公務員年金は、投資対象を日本株の指数連動(パッシブ)運用や、外国株・外国債券に広げる。ESGに積極的な企業の株を一括で運用するファンドを募集し、運用委託先を選ぶ。同年金は、運用者が投資先を選別するアクティブ運用ではすでに約1600億円のESG投資の実績があるが、パッシブ運用は対象外だった。外国株・外国債券では新規の投資を検討するほか、国内債券ではグリーンボンドの投資拡大も目指す。

 

 私立学校共済年金も日本株のパッシブ運用でESG重視ファンドへの投資を検討する。またグリーンボンドへの投資額も増やす可能性もあるとしている。

 

 一方、GPIFは2017年10月、積立金基本方針の改定に先行する形で、自らの投資原則を改めている。ESG投資を株式にとどまらず、債券など全ての資産でESGの要素を考慮した投資を進めてきた。2018年からは「ESG活動報告」を発行している。またグリーンボンド投資に力を入れており、国際公的金融機関等と積極的に連携協定を結んでいる。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200330&ng=DGKKZO57382290Z20C20A3NN1000

https://www.mhlw.go.jp/content/12501000/000577958.pdf