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野村証券と野村総合研究所、ブロックチェーン技術活用の「デジタルアセット債」国内初の発行。発行体が債券売買記録をリアルタイム把握。金利に代えポイント等多様なリターン提供(RIEF)

2020-03-31 15:46:41

ibet1キャプチャ

 

 野村証券と野村総合研究所(NRI)は、ブロックチェーン技術を活用した国内初の債券を発行した。社債発行手続きの一部を電子化するアプリを利用した自己募集形態で、利息をポイントで投資家に払う「デジタルアセット債」と、証券引き受けで利息は金銭支払いの「デジタル債」の二種類。発行額は合計3000万円。今回は実験的にNRIの役職員に限定販売とする。

 

 野村ホールディングスとNRIが昨年9月に設立した共同出資会社BOOSTRY(東京)が開発したプラットフォーム「ibet」を活用する。BOOSTRYは社債原簿管理人も務める。

 

Boostryキャプチャ

 

 今回の社債発行では、ブロックチェーン基盤を活用して売買記録を追跡することで、社債原簿の管理と、従来型の社債では困難だった発行者による社債権者のリアルタイムでの把握ができる。「デジタルアセット債」は、NRIが投資家を直接勧誘する自己募集形態で起債され、「デジタル債」は野村証券が投資家を勧誘する従来通りの証券引き受けで起債された。

 

 発行額は「デジタルアセット債」が2500万円、「デジタル債」が500万円。ともに償還期間は3カ月。利率はともに年0.5974%。デジタルアセット債は原則としてデジタルアセット(カフェポイント=カフェの店舗で利用できるポイント)で支払う。

 

ブロックチェーン技術を使ったデジタルアセット債の仕組み
ブロックチェーン技術を使ったデジタルアセット債の仕組み

 

 今回は実験的な意味合いが大きいが、ブロックチェーン技術を活用することで、小口かつ個人向け社債のオンライン販売が可能となる。またデジタルアセットの付与を行うことで、ポイントだけではなく、会員権やトークン、クーポンなど多様なリターンを付与した社債の発行も考えられる。個人向けのグリーンボンドの発行にも応用できそうだ。

 野村証券とNRIは、今回の発行を通じて、社債権者の継続的な把握を通じた長期保有のインセンティブ付け等、今後の発展的な活用の可能性についても確認する、としている。

 プラットフォームとなるBOOSRRY開発のibetは、各種権利(有価証券、会員権、利用券等)の 発行・管理を行うブロックチェーン基盤。オープンソースで開発され、野村グループに限らずデジタルアセッ ト事業に関心のある企業の共有基盤となることを目指している。

https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2020/cc/0330_1