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防衛省が、「日本気候リーダーズ・パートナーズ(JCLIP)」の「RE100」等のアンバサダーに就任。基地等の再エネ推進を宣言。沖縄・辺野古基地建設での環境破壊等は大丈夫か(RIEF)

2020-06-09 14:25:36

JCLIP001キャプチャ

 

 持続可能な脱炭素社会実現を目指す企業グループの「日本気候リーダーズ・パートナーズ(JCLIP)」は、企業が事業で使用する電気を100%再生可能エネルギー(再エネ)化を宣言する「RE100」などのアンバサダーに防衛省が就任した、と発表した。防衛省は基地や施設の使用電力の再エネ化を進めるとしている。ただ、同省は沖縄の米軍辺野古基地建設では海洋環境破壊を引き起こしているとの指摘もある。「防衛省の再エネ100参加」は“グリーンウォッシュ”との批判も出そうだ。

 

 (写真は、アンバサダー就任の署名を見せる河野防衛相㊧から2人目)

 

 防衛省が就任するのは「RE100」と、日本独自の中小企業等を対象とした枠組み「再エネ100宣言RE Action」のそれぞれのアンバサダー。

 

 同省の基地や関連施設等の年間消費電力量は約1.27TWh。昨年来、これらの施設等での使用電力を再エネ由来の電力への切り替えを進めている。最終的に再エネ率100%を目指すとしており、今年度は151施設で合計約9100万kWhの再エネ電力の調達を実現し、再エネ率30%を達成する予定。対象施設の中には防衛省で2番目に消費電力量の多い防衛医科大学や8番目に多い浜松基地も含まれる。

 

 河野太郎防衛相は「気候変動対策の推進という大きな意義を持つ『RE100』と『再エネ100宣言RE Action』の取り組みに賛同し、防衛省として、両アンバサダーに就任をするということにした。今後、アンバサダーとして、気候変動対策に資する取り組みに対して、防衛省として可能な支援を行っていこうと思っている」と述べた。

 

 同相は防衛省の記者会見で記者から「陸自の戦車とかは無理だと思うのですが、色々な車両、兵員輸送車だとか、後方支援などの車両をハイブリッドカーにするとか、あるいは電気自動車化を進めるなどの計画はあるのか」と問われた。

 

 これに対して、同相は「今考えているのは、再エネ電力の調達がメインだが、様々なことが、将来的には考えられる。(再エネ車両で)有事の際に輸入燃料に頼らない、というのは、自衛隊の強靭化の一つであることは間違いない。バイオ燃料のようなものを調達する、あるいは再エネから電池に充電をする等が将来的には考えられると思う。現時点で何か具体的なものはない。将来的には当然、範囲に入るのだろうと思う」と説明した。

 

 将来は、再エネモーターの駆逐艦や、バイオ燃料の迎撃ミサイルも登場するかも。米軍や欧州などでも、軍事施設・設備の省エネ化、低炭素化・低環境負荷が課題にはなっている。ただ、再エネに取り組み、CO2排出量を減らすことが、基地の建設工事で環境破壊を推進したり、基地や施設から有害廃棄物を排出したり、騒音公害をまき散らしたりすることの「免罪符」にはならない。

 

 JCLIPは「脱炭素社会」への移行を、ビジネスの視点で推進する企業が設立した活動体。参加企業はリコー、イオン、キッコーマン、大和ハウス工業、武田薬品工業など144社を数える。個社別の脱炭素経営にとどまらず、社会的なムーブメントとすることを目指している。

 

 同時に、国際団体のThe Climate Groupの公式地域パートナーとして、再エネ100の「RE100」、「EP100(事業のエネルギー効率を倍増させる)」、「EV100(事業活動で使うモビリティーを100%ゼロエミッションにする)」の日本の支援窓口を務めている。環境省の外郭団体の地球環境戦略研究機関(IGES)内に事務局がある。

 

https://japan-clp.jp/archives/5547

https://www.theclimategroup.org/news/business-and-government-affirm-climate-commitments-world-environment-day

https://japan-clp.jp/wp-content/uploads/2020/06/6a286b90de0d7300c75240e099eb25c1.pdf