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住友化学グループ、 「プラスチック資源循環に関する基本方針」を制定。事業を通じた問題解決、3Rイノベーションへの注力など5項目。削減や循環の定量目標は設定せず(RIEF)

2020-06-23 23:48:24

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 住友化学は、プラスチック資源の循環実現と、廃棄物問題の解決に資するためとして、「住友化学グループ・プラスチック資源循環に関する基本方針」を制定した。プラスチックは同社の主要製品で、使用後の適切な処理・再利用をメーカーとしてステークホルダーを巻き込んで推進する。基本方針は①事業を通じて課題解決に貢献②気候変動にも配慮した3Rのイノベーションに注力③海洋プラ問題ではアライアンスや他社との連携強化、など5項目。定量的な目標は示していない。

 同社は今回の基本方針を、「プラスチック資源循環の実現とプラスチック廃棄物問題の解決に向けたグループとしてのコミットメント」と位置付けている。

 同社の主力製品でもあるプラスチックは、自動車や航空機、電子機器、各種包装材など、さまざまな用途に用いられ、人々の生活を支える有用な素材である一方、使用後の適切な処理・再利用が十分に行われておらず、近年は海洋プラスチックごみ等の環境問題が世界的な課題になっている。同社はこうした問題意識を踏まえ、プラスチック資源循環への貢献は、経営が取り組む最重要課題(マテリアリティ)の一つ、と宣言した。

 同社ではこれまでも、プラ資源循環のための試みとして、樹脂の薄肉化や詰め替え容器に適したフィルム向け材料などのプラスチックのリデュース、リユースにつながる製品の開発・供給を進めてきた。また、最近は他企業や学界等と共同で複数のケミカルリサイクル技術の開発にも力を入れている、としている。

 取り組みを加速させるため、今年4月には、環境負荷低減に関する技術開発を行う研究グループを社内に新設、体制を強化した。またプラ問題は一社だけでの課題ではなく、産業界、社会あげての課題でもあることから、「Alliance to End Plastic Waste(AEPW)」をはじめ国内外のアライアンスにも積極的に参画し、業界全体での取り組みにも力を入れている。

 ただ、今回整理した基本方針は、いずれも「姿勢」の提示にとどまっている。基本姿勢は大事だが、プラスチック問題の喫緊性を考えれば、ユーザー企業等と連携して、プラ資源の再利用・再生等の数値目標の設定や、海洋プラスチック廃棄物の回収あるいは削減目標等を設定したうえでの実践活動が求められる。

 製造業としての「拡大生産物製造責任」を踏まえ、ユーザー企業、消費者、行政を巻き込んでリードする意欲的な役割を、住友化学には期待したいところだ。

 基本方針は次の通り。

 ① 当社グループは、化学の強みを発揮できる技術や製品、サービスの提供など、事業 を通じて課題解決に貢献する。

  ② 当社グループは、気候変動問題への対応にも配慮しつつリデュース・リユース・リ サイクル(3R)に関するイノベーションを中心に注力し、新しいソリューションの早期社会実装を目指す。

③ 当社グループは、海洋プラスチック問題のように個社では解決が難しい課題に対しても、アライアンスへの参加や、オープンイノベーションによる他者との連携等を通じて、様々なステークホルダーと協力し、取り組む。

④ 当社グループは、社員の一人一人が関連する課題を自分事として捉え、自らの行動変革に繋げることができるように、健全な科学に基づいて教育啓発を実施するとともに、分別収集の促進、河川や海岸の清掃などの社会貢献活動にも積極的に取り組む。

⑤ 当社グループは、関連の活動についてレビューを行い、PDCAサイクルを回して内容の充実と質の向上を図りながら取り組む。

(RIEF)

https://www.sumitomo-chem.co.jp/news/detail/20200619.html

https://www.sumitomo-chem.co.jp/news/files/docs/20200601_policy.pdf