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パリ協定推進のEUと中国、カナダ主導の「気候変動閣僚会議(MoCA)」開催。新型コロナウイルス感染後の景気回復を「グリーンリカバリー」として連携することなど議論(RIEF)

2020-07-09 13:24:53

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 パリ協定推進のための第4回気候変動閣僚級会議(MoCA)が7日、開かれた。MoCAはトランプ政権が発足後、パリ協定からの離脱を宣言したことを受け、EUと中国、カナダの3カ国(地域)が同協定支持をアピールするために各国に呼びかけて始まった年次会合だ。今回は新型コロナウイルス感染対策のためオンラインで開かれ、コロナ後の世界経済の低迷について、パリ協定に沿ったグローバル回復(グリーンリカバリー)とすることなどを話し合った。

 

 (写真は、MoCA会議に臨む欧州委員会のティメルマンス副委員長。オンライン会議のため一人で会見した)

 

 会合には議長として欧州委員会副委員長(気候変動担当)のフランツ・ティメルマンス(Frans Timmermans)、共同議長として、中国は生態環境相の黄潤秋(Huang Runqiu)氏、カナダは環境気候変動相のJonathan Wilkinson氏が出席、国連事務総長の気候行動対策の特別アドバイザーのSelwin Charles氏、G20の各国関係者ら30カ国以上の代表がオンラインで参加した。

 

 冒頭、ティメルマン氏は「コロナウイルスの影響で国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の来年への延期を強いられたが、地球は気候変動に対して我々が行動をとるまで待ってはくれない。すべての国際パートナーとともに、我々の経済を再構築し、クリーン化する知恵と経験を共有するために協働していかねばならない」と述べた。

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 そのうえで、 EUがコロナ対策で提案している7500億ユーロ(約5兆4450億円)規模の経済回復パッケージに言及。「同計画はEUだけでなくパートナー国への支援も含む。グリーンリカバリーでないと、われわれはコロナ危機から脱しても、気候危機の中を夢遊病のように彷徨うことになる」と指摘し、グリーンリカバリーの必要性を強調した。

 

 中国の黄氏、カナダのWilkinson氏も、コロナ感染で各国が多様な影響を受け、経済回復をそれぞれに取り組んでいるが、各国ベース、グローバルベースでの共同歩調をとって、経験を共有し、調整することで最良の結果を生むことができる、との認識を示した。EUのグリーンリカバリーに、中国、カナダ両国が具体的な連携政策を打ち出せば、他国の参加も期待できる。

 

 ただ、迅速性を求められる現下の景気回復策において、グリーン施策をどの程度、優先できるかどうかは微妙である。中国は5月、国内の電力網強化に投資するとともに、各省等が凍結してきた石炭火力発電の建設を容認する可能性を示唆している。これまでパリ協定との整合性のため、地方自治体がすでに認可した石炭火力を凍結してきたが、景気・雇用対策への優先度が高まっているという。

 

 一方、カナダもオイルサンド等のCO2排出量の多い化石燃料産業を抱えている。これらの産業では景気低迷による需要の低迷と油価の下落により、収益悪化と雇用調整が課題となっている。グリーンリカバリーの「建前」と、目の前の景気対策の「本音」のギャップを、気候変動対策の国際連携で乗り越えられるかどうかだ。(RIEF)

 

https://ec.europa.eu/clima/news/eu-canada-and-china-co-host-international-meeting-climate-cooperation-and-sustainable-economic_en

https://ec.europa.eu/clima/sites/clima/files/news/20200707_opening_en.pdf