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長野県、グリーンボンド発行額と資金使途先決まる。発行額50億円、使途先は県内7カ所の小水力発電所や「しなの鉄道」の省エネ化等(RIEF)

2020-08-05 12:41:24

nagano001キャプチャ

 

 都道府県で初めて「気候非常事態」を宣言した長野県は、気候変動対策で準備を進めているグリーンボンドの発行額を50億円に決めた。発行時期は市場動向を見ながら決める。資金使途には、県の実施事情を含め県内7カ所の小水力発電事業や、地元の「しなの鉄道」の車両を省エネ型に更新することへの補助金等を盛り込む。

 

 (写真は、長野県営箕輪ダム。この放流水を活用して水力発電をする。2021年稼働予定)

 

 長野県は今年2月、東京都以外の自治体で初となるグリーンボンドの発行方針を決めた。議会での承認も得て、今般、グリーンボンドフレームワークを設定した。調達資金で、県内での自然災害の影響緩和と、2050年のCO2排出量実質ゼロ達成に向けた適応・緩和両面の政策を進める。https://rief-jp.org/ct4/99024

 

 調達資金の使途事業は、①農業用水を活用した小水力発電事業者への補助金交付と、県が建設する小水力発電施設②地域鉄道の「しなの鉄道」の車両更新の補助③県が定める省エネ基準を満たす県保有施設・設備の更新・改修・新築④気候変動への適応に資する交通インフラ整備、水害対策の河川改修(拡幅、掘削工事等)、砂防・治山・地すべり・急傾斜地崩壊対策事業⑤信州の森林づくり(林道の整備)事業、の5分野。

 

 このうち、①の小水力発電では、民間主導の菅平小水力発電所(発電出力198kWh)など4つの農業用水利用事業を選定。県の直轄事業として「信州もみ事故発電所」など3事業を選んだ。直轄の小水力発電では合計1210世帯分の電力を供給する計画だ。

 

「しなの鉄道」の省エネ車両(SR1型)
「しなの鉄道」の省エネ車両(SR1型)

 

 「しなの鉄道」の車両更新の補助事業は、現在、同鉄道が、製造から約40年経過の現行車両を省エネ型(SR1系)に切り替えを進めていることを支援する。SR1系には電車のブレーキ時に発生する電力を使う「回生ブレーキ」、LED、車両の軽量化、インバータの省エネ化等が盛り込まれ、年間消費電力は現行車両より40%以上削減できる。

 

 自然災害対策では、河川改修事業を7地域で実施、浸水対策、堤防舗装等を進める。治山事業としての森林整備等に加えて、「信州の森林づくり事業」として、県営林道5路線、補助林道54カ所の整備を進める。

 

 グリーンボンドフレームワークに基づく今後のグリーンボンド発行については、日本格付研究所(JCR)が「Green1」の予備評価を付与している。長野県は2050年の「CO2排出実質ゼロ」とともに、SDGs達成を進める「SDGs未来年」にも選定されている。

 

https://www.jcr.co.jp/download/3196f8ff666cca751b81185fb3e559ae0869f9b36358a5b0b9/20d0430_1.pdf