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三菱商事主導のベトナム・ブンアン2石炭火力事業に、中国電力が出資を検討。環境NGOが同社の主要株主47社に、出資断念あるいは投資引き揚げの要請書提出(RIEF)

2020-09-30 14:02:02

bunanキャプチャ

 

 三菱商事がベトナムで進めているブンアン2石炭火力発電事業に、新たに中国電力が出資を検討しているとして、環境NGO5団体が、中国電力の主要株主47社に対し、同社へ投資断念を求めるエンゲージメントあるいは、同社への投資引き揚げ(ダイベストメント)を求める要請書を提出した。 ベトナム事業では当初、三菱とともに事業推進していた香港の企業が脱石炭方針で撤退している。中国電力はその撤退分を埋め合わせる出資を検討しているという。

 

 (写真は、ブンアン2石炭火力発電所計画に隣接するブンアン1火力発電所)

 

 株主要請を行ったのは、気候ネットワークやFoE Japan等。要請書によると、中国電力はドイツの環境NGO「Urgewald」が作成したGlobal Coal Exit List (GCEL)で、石炭事業の拡大に深く関与している企業のひとつとして名指しされている。

 

 ブンアン2石炭火力発電事業は、三菱商事と香港拠点の電力会社CLPホールディングスが中心になって、ベトナム・ハティン省に600MWの超々臨界圧発電設備(USC)を2基建設する計画だった。ところが、CLPは昨年12月に脱石炭方針を発表し、同事業からの撤退を決定した。https://rief-jp.org/ct8/103691

 

Chugokuキャプチャ

 

 また事業への融資を検討していた英国のスタンダード・チャータード銀行、シンガポールのOCBC銀行、同DBS銀行も銀行団から撤退を宣言した。さらにEPC(設計・調達・建設)で参加予定だったGEも今月21日に、新設の石炭火力発電事業から撤退する方針を発表している。

 

 三菱商事はCLTの撤退分の穴埋めを韓国の企業等に持ち掛けてきたが、いずれも難色を示したことから、国内の中国電力と交渉しているとみられる。仮に中国電力が出資を引き受けると、銀行団も3メガバンク等の日本勢だけで、事業者、銀行の両方とも日本勢による「日の丸プロジェクト」になる。https://rief-jp.org/ct4/95382

 

 建設予定先のベトナムの事情の微妙に変わりつつある。同国の第8次電源開発計画(PDP8)では、石炭火力発電案件の数は減少させる予定であり、環境NGOは「ベトナム政府自身も石炭からの脱却の兆しを見せ始めている」と指摘している。

 

 29日に開いた「ジャパン・ビヨンド・コール(JBC)」の発足ウェビナーに出席した国連気候変動枠組条約事務局前事務局長のクリスティアナ・フィゲレス氏は「2030年までの10年間で、世界の温室効果ガスを50%削減する必要がある。新しく石炭火力発電所を建設する余裕は世界のどこにもない」と述べている。https://rief-jp.org/ct7/107030

https://www.kikonet.org/press-release/2020-09-29/divestment_from_Chugoku.ec