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英スコットランドで、「世界初」の二階建て水素バスの運行テスト開始。来年のグラスゴーでのCOP26には、300台を街に走らせる計画も。電気自動車と水素自動車の競合本格化へ(RIEF)

2020-10-12 23:30:04

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 世界初の水素燃料の二階建てバスが、英国のスコットランドでお目見えした。東部のアバディーン市当局が5年がかりで、水素ステーション等も整備、試行実験として15台のバスの運行を始めた。当面は乗客を乗せずに、11月まで乗務員のトレーニングと技術的なチェックを続ける。来年、同じスコットランドのグラスゴーで開催する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)でも活躍する可能性がある。

 

 (写真は、スコットランド・アバディーンの街で試験運行する二階建て水素バスをお披露目する市当局やバス会社の関係者)

 

 「世界初」の二階建て水素バスを製造したのは、 北アイルランドを拠点とするバス製造会社のWrightbus。同社では2024年までに英国全体で3000台の水素バスを運行する計画を立てている。実現すると、英国の全バス路線の10%で水素バスが走ることになるという。今回のアバディーンでの15台の試験運行はその試金石というところだ。

 

ロンドンの二階建てバスは赤色だが、こちらは水素バスなので緑色の二階建てバスに。
ロンドンの二階建てバスは赤色だが、こちらは水素バスなので緑色の二階建てバスに。

 

 水素バスは、CO2フリーという点で、電気バスと競合する。コスト面が最大のポイントだが、現状で水素バスが優れているのは、燃料注入時間が10分で済む点だ。電気バスはそうはいかない。また航続距離も電気バスより長い。今回のアバディーンでの運行は、同地のバス会社First Groupが運転手のトレーニングも兼ねて実施する。

 

 試行走行には、同市当局が全面協力するほか、エネルギー会社のBPもパートナーとして参加、水素ステーション等のインフラ整備に協力する。試行事業全体はEUの資金も含めて830万ポンド(約11億2000万円)の予算で実施される。

 

 バス製造会社WrightbusのオーナーであるJo Bamford氏は、来年のCOP26に向けて、アバディーンの次にグラスゴーで300台の水素バスを運行させる計画を立てている。COP26で世界の二階建て水素バスを走らせ、世界中にアピールする戦略だ。ロンドンの二階建てバスは赤色だが、スコットランドの水素バスは緑色が似合うようだ。

 

 Barmford氏は「われわれの伝統ある二階建てバスと水素エネルギーの組み合わせで、世界のネットゼロ化をリードしていきたい。二階建てバスで、グローバルなエネルギー・トランジションを推進できる」と力を入れている。

 

 英国全体では2050年のネットゼロ化を目標にしているが、スコットランドはそれを前倒しした2045年としている。アバディーン市は、特にネットゼロ化が難しい運輸セクターや建物のエネルギー効率化等への挑戦を進めている。今回、バスを運行するFirst Groupは2035年までにスコットランド全体でネットゼロ化を実現する目標を立てている。

 

 日本でも「ネットゼロ宣言」をする都市が増えているが、宣言の証として脱炭素交通手段となる二階建て水素バスを導入してはどうか。

https://www.edie.net/news/8/World-s-first-hydrogen-powered-double-decker-bus-hits-Scottish-streets/?utm_source=dailynewsletter,%20edie%20daily%20newsletter&utm_medium=email,%20email&utm_content=news&utm_campaign=dailynewsletter,%205b4587090f-dailynewsletter_COPY_904