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三菱重工 ノルウェーの「グリーン水素」製造技術会社に出資、IPOの私募分引き受け(RIEF)

2020-10-15 13:56:53

HYdorogennPRo2キャプチャ

 

 三菱重工業は、再生可能エネルギー電力から水素を製造する「グリーン水素」事業の中核になる水電解技術大手のノルウェー・ハイドロジェンプロ社(HydrogenPro AS)に出資した。出資額は、新規株式公開(IPO)による同社の新株購入分と既存株主の売却分のうち、1億2000万ノルウェークローネ(約13億6500万円)。三菱重工では、同社への出資によってグリーン水素の製造・供給の分野に進出するとともに、製造した水素を活用する発電システムや肥料製造設備、製鉄所など産業の脱炭素化市場でのビジネス展開を目指すとしている。

 

 (写真は、ハイドロジェンプロ社の水電解設備)

 

  ハイドロジェンプロの今回の私募は、合計6億ノルウェークローネ(約68億5000万円)。新規公開分5億5000万ノルウェークローネと、同社の創設者であり現CEO、筆頭株主のRichard Espeseth氏が保有株ののうち16.5%分を売却した。ただ、同氏は売却後も20.3%の保有割合を維持し、筆頭株主としてとどまる。

 

 三菱重工以外の投資家は、DNB Asset Management AS、Klaveness Marine Finance ASなどのノルウェーの資産運用機関が購入した。IPOへの投資倍率は14倍にも達したとしている。

 

 ハイドロジェンプロ社は、2013年設立で、ノルウェーのテレマルク(Telemark)県のポルスグラン(Porsgrunn)に本拠を置く。創業者のRichard Espeseth氏は電力会社ノルスク・ハイドロ(Norsk Hydro)などを経て、スタートアップ企業として同社を立ち上げた。

 

 同社では、加圧アルカリ槽を用いた水電解技術により、9,000kW級(水素製造能力4.4㌧ /日)の水電解式水素製造装置を開発済みであり、現在、10万kW級(同48㌧/日)のプラントの実用化を進めている。IPOで調達した資金は、これら製造プラントのサプライチェーン等を強化するために活用するとしている。

 

 「脱炭素」の将来の主力エネルギーとして水素への期待が高まっており、現在は天然ガス等の化石燃料からの製造が中心だ。だが、欧州では再生可能電力と水電解技術を組み合わせた「グリーン水素」製造への取り組みが進んでいる。

 

 フランスは、2030年までに650万KWのグリーン水素製造設備を目標とし、ドイツも、2030年までに500万kW、2040年までに1,000万kWの水素製造を打ち出している。EUでも2030年までに4000万kWの製造能力を持つ構想を公表している。三菱重工は、グローバルに「グリーン水素」への需要が高まると判断、製造技術を強化する方針だ。

 

https://hydrogen-pro.com/2020/09/30/hydrogenpro-completes-private-placement/

https://www.mhi.com/jp/news/201014.html