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輸入木質ペレットの「品質不良」が原因(?)で、大規模バイオマス発電所のトラブル相次ぐ。北九州では火災発生。背景にアジアからの燃料認証の偽造問題も(RIEF)

2020-10-17 23:23:55

Vietnum002キャプチャ

 

 先に、バイオマス発電の輸入木質ペレットに大量のFSC(森林認証制度)認証偽装の疑いがあることを指摘したが、それらの輸入ペレットの品質不良が原因で、火災やボイラートラブルが相次いでいる可能性があることが分かった。関係筋によると、ペレットのかさ増しによって不正な廃棄物や金属等の不純物が混入している疑いがある。経産省等の燃料管理体制もほとんど機能していないようだ。

 

 (写真は、ベルトコンベアーが燃える「響灘エネルギーパーク」のバイオマス発電所=西日本新聞より)

 

 13日早朝に火災が発生したのは、北九州市若松区にある「響灘エネルギーパーク合同会社」運営のバイオマス発電所。オリックスグループの発電所だ。発電所に燃料を運ぶベルトコンベアから出火しているのを職員が見つけ、消防に通報。4時間後に鎮火した。同施設は輸入木質ペレット等を石炭と混焼させて発電している。出火当時、発電所は稼働中だったが、けが人等はなかった。https://www.nishinippon.co.jp/item/n/653795/

 

 出火原因は調査中。関係者の間では、燃料として使っている輸入木質ペレットの品質不良が原因ではないかとの見方が出ている。同社は今年度に入ってからの4~7月の4カ月だけでベトナム製の木質ペレットを約7万6000㌧輸入している。

 

黒煙を上げて燃える発電所(西日本新聞より)
黒煙を上げて燃える発電所(西日本新聞より)

 

 ベトナムでのFSC認証対象となる樹木のアカシア等の栽培面積を前提にすると、産出できる木質ペレットは年間約30万㌧とされる。だが、実際にはその6倍近くが日本を中心にして輸出されているという。このため、大量のFSC認証偽造燃料が紛れているのではとの疑念が向けられている。ベトナムからは今年度に入ってからも、すでに年間生産可能量とほぼ同量の規模のペレットが日本に輸入されている。http://rief-jp.org/ct4/102720

 

 輸入木質ペレット燃料が原因とみられるトラブルが起きているのは、北九州の火災事故だけではない。南九州の木質バイオマス発電所では、不純物によるクリンカー発生でのボイラートラブルが頻発しているとされるほか、関東の発電所でも、ストックヤードから発電所へ燃料を運ぶコンベヤで、不純物が原因とみられるトラブルの発生が相次いでいるという。

 

 FSC認証偽装の疑いが生じる原因は、現行のFIT制度にある。同制度によるバイオマス発電電力の買い取り価格は、燃料とするバイオマスによって価格が異なり、FSCなどの認証付きの一般木質バイオマスは1kWh当たり24円、認証のない建設資材廃棄物だと同13円と半額近くになる。このため輸出事業者の中には、他の廃棄物等を混ぜてかさ増しした燃料に、不正にFSC認証をつけ、日本の商社等に販売しているとの指摘がある。

 

 認証疑惑の木質ペレットが国内で大幅に流通している可能性は、FSC認証材確認のメカニズムが不十分である点や、そもそも日本の輸入業者がFSC認証材の確認方法を十分に知らないといったことも背景の要因としてあるという。本来は不正をチェックすべき固定価格買取制度(FIT)を運用する経産省と林野庁には、燃料の不正を点検する管理能力が乏しいとされる。

 

 不正な燃料に高い燃料価格を払っているとすると、その分、FITでの国民賦課金負担増になっていることにもなる。ある推計では、FITによる東南アジアへの超過支払いは年間80億円との指摘もある。国民負担増加に加えて、発電所の操業に影響が出ることで事業損失も引き起こしていることになる。http://rief-jp.org/ct4/102720

https://hibikinada.energy-park.jp/

https://hibikinada.energy-park.jp/files/pdf/20201013.pdf