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国連の責任投資原則(PRI)が署名参加を有料化。フリーライダーを排除(FGW)

2011-04-10 23:55:56




年金など機関投資家がESG投資の責任を果たすと宣言する国連の責任投資原則(PRI)が、署名参加の機関投資家等から料金を徴収することになった。これまで趣旨に賛同すれば、無料で署名できていたが、署名だけしてESG活動をしない機関がいるほか、参加者が増えたため、組織的対応が必要になってきたためという。

署名の有料化は、4月1日から実施されている。PRIの議長 Wolfgang Engshuber氏は、「PRIの活動を運営していくために、公平で、モデストな年会費を徴収する」としている。PRIはこれまでボランタリーベースの運営で、趣旨に賛同する金融機関等からの寄付金などでまかなわれてきた。しかし、署名機関は世界中で800を超えたにもかかわらず、寄付をしている機関はそのうち3分の1程度にとどまっている。日本の署名機関も18に増えたが、実際には、署名はするが寄付はしないところがあるなど、フリーライダー問題が一部で指摘されていた。

議長は「責任投資はあらゆる資産クラスを対象としており、これを各投資タイプや各地域に応じて、推進していくのは、非常に大きな仕事である。それらを実現するには、組織的なスケールでの運用が必要で、優秀な専門スタッフを雇用する必要もある。各地域でのローカル活動の支援も必要だ。これらを考えるとこれまでのボランティアベースの対応では不十分」と、有料化に踏み切る理由をあげている。

 PRIの専門スタッフは、現在ロンドンに22人、ニューヨーク2人、オランダ、ブラジル、南アフリカ、韓国、日本にそれぞれ1人ずつが配置されている。

各署名機関の運用資産に応じて徴収する仕組み。署名機関の中心となる資産保有参加者と資産運用参加者はともに、9900万ドル以下の運用資産の場合は330ポンド、それ以上については段階的に1億~9億9000万ドルが660ポンド、10億~49億9000万ドルが2300ポンド、50億~99億9000万ドルは5000ポンド、100億ドル以上は6600ポンド、となっている。

またコンサルタントや法的サービスなどの専門機関は、スタッフが10人以下の場合は330ポンド、11~25人が660ポンド、26~51人が2300ポンド、51~200人が5000ポンド、そして200人以上の場合は6600ポンドとなっている。