東京都、コロナ対策用の中小企業向け融資資金に充当する都債600億円発行へ。「コロナ債」だが、国際資本市場協会(ICMA)の基準準拠の「ESG債」には該当せず(RIEF)
2020-11-26 22:53:02
東京都は26日、新型コロナウイルス対策に資金使途を定めた発行額600億円の都債の発行を決めた。発行は12月上旬の予定。調達資金はコロナ禍で資金繰りが悪化している中小企業への融資に充当する。ただ、同都債は、国際資本市場協会(ICMA)が定めているソーシャルボンド原則(SBP)等には該当せず、一般的な都債と同じ扱いになる。
期間5年、利率0.01%。主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券、ゴールドマン・サックス証券が務める。都は9月の補正予算で2020年度の中小企業制度融資の目標額を2兆5000億円から3兆8000億円に増額。都債発行計画も従来の6000億円から7500億円程度に引き上げている。今回のコロナ対策の都債もその一環で、調達額全体を中小企業向け制度融資の預託金に充当する。
資金使途はコロナ対策であるため市場では「コロナ債」と呼ばれる。だが、ESG債の基準となるICMAのSBPやサステナビリティボンドガイドライン(SBG)等に準拠する場合、資金使途だけではなく、資金の分離管理や、情報開示、第三者機関による検証等が求められる。今回の都債はそうした条件付けはないので、厳密にいうとコロナ債であっても、ICMA準拠のESG債ではない。ただ、都債はS&PでA+と高格付を取得しており、投資家の信頼度は高い。
コロナ禍後、SBPやSBG準拠のコロナ債として日本で発行されたのは、三菱UFJフィナンシャル・グループが6月と9月に二度にわたってウイルス感染の拡大での中小企業対策の融資資金調達のサステナビリティボンドを発行したほか、地方銀行の中国銀行も10月に地銀初でソーシャルボンドでコロナ債を発行している。いずれもICMAの基準に準拠している。